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ヨーロッパ新生・独仏トップの「調和できない溝」
親密な「メルコジ」同盟時代とは正反対、フランスのオランド新大統領とドイツのメルケル首相の間には早くも隙間風が
冷たい視線 初の独仏首脳会談後に共同記者会見するオランド(左)とメルケル(5月15日、ベルリン) Tobias Schwarz-Reuters
先週末、フランスの新リーダーとしてG8デビューを果たしたフランソワ・オランド大統領。しかし、ドイツのアンゲラ・メルケル首相との間には、さっそく寒い空気が漂っている。
G8に先立ちベルリンで先週行われた初の独仏首脳会談では、メルケルはニコラ・サルコジ前大統領に示したような温かみのある態度はいっさい封印。各国報道陣を前にした共同記者会見でも、オランドが話している間は石のように無表情だった。
両者の冷ややかな関係は、オランドが大統領に就任する前から始まっていた。選挙戦の間もメルケルはオランドと面会せず、フランス次期大統領にはサルコジを支持するとまで公言していた。対するオランドも、メルケル主導で昨年末に合意したEU財政協定の見直しを声高に訴えた。
とはいえギリシャ危機をめぐっては、メルケルもオランドも団結して臨もうとしているようだ。ギリシャでは今月行われた総選挙後に連立交渉が決裂し、来月にも再選挙が予定されている。その結果、「反緊縮」を掲げる急進左派連合中心の政権が成立すれば、ユーロ離脱のシナリオが一層現実味を増す。
しかしそんな緊迫した状況の中でも、オランドとメルケルの姿勢の違いばかりが
目につく。
EUで孤立を深めるメルケル
オランドはメルケルとの会談で、EU財政協定の見直しを改めて求めた。同協定はEU加盟国に財政規律の強化を求めているが、経済成長を重視する政策を盛り込まないかぎりフランスは協定を批准しない、というのがオランドの言い分だ。「選挙中に訴えたことを今ここでも繰り返すが、私はこの協定について再交渉したい」と、オランドは報道陣に語った。
今のところオランドは、歩み寄る気はなさようだ。6月半ばには議会選挙が控えているので、大統領選の公約をさっそく反故にしたと国民に思われては困るからだ。
それに、EU内のムードの変化にもオランドは気づいている。今ではイタリアのマリオ・モンティ首相などの保守派をはじめ、債務削減にこだわるドイツが譲歩するのを願う首脳も出てきた。緊縮路線が経済成長を締め付けていることが日に日に明らかになるなか、メルケルはヨーロッパで孤立を深める一方だ。
それでもメルケルは、山積する課題について姿勢を変える気配はない。オランドの選挙公約を恐れているか、と先週問われたメルケルは、冷静にこう答えた。「私はめったに恐れない。政治において、恐れは『良き助言者』にならないから」
From GlobalPost.com