最新記事

対談

ツイッターが変える日中の未来(3)

たった140字のリアルタイムな「つぶやき」が社会を変える! 日中両国でトップーユーザーとして活躍する津田大介氏と安替(アンティ)氏が語るツイッターと世界の未来

2010年11月5日(金)13時15分

 中国でツイッターユーザーたちはどのように政府のアクセス遮断を迂回しているのか? ツイッターなどニューメディアが目指すべき「ビジネスモデル」とは――日中両国でトップ・ツイッターユーザーとして活躍する津田大介氏と安替(アンティ)氏の対談第3回。
(編集部・長岡義博、通訳は北京在住ジャーナリストのふるまい・よしこ氏)。

「日中ツイッター対談」第1回はこちら
「日中ツイッター対談」第2回はこちら

津田:ところで、中国でフェースブックはどんな状況なんですか?

安替:フェースブックは政府が簡単に封鎖することができます。「開心網」「人人網」というフェースブックに似た中国独自のサイトもありますが、すべて厳しく自己検閲しています。

津田:中国でツイッターにアクセスするのはAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース、第三者アプリ)経由ですか?

安替:ツイッターはAPIを使えばVPN(仮想プライベートネットワーク)を使って迂回しなくても大丈夫だったのですが、8月にOAuth認証型にしたことで、APIが使いづらくなりました。

津田:迂回ルートも使われている?

安替:VPNも使われているが、APIに変更を加えたものが使われています。

津田:政府の封鎖を迂回してネットを利用している人が数百万人もいるということですが、法的なリスクはないんですか?

安替:法律上の罰則はありません。というのは、ビジネス上の理由から政府のブロック超えをする人たちが多いから。すべて違法としてしまうと、外国のビジネスマンが中国にまったく来なくなってしまう(笑)。

津田:中国政府はあえて迂回を認めている部分もあると?

安替:政府は実際には無料のVPNはブロックしています。有料のものには手をつけていません。私も使っていますが、年間40ドルほど。安いですよ。

津田:安替さんが利用しているのは中国企業のものですか?

安替:もちろん外国のものですよ! 以前、中国企業のサービスでパスワードや個人情報をまるごと取られてしまった、ということがありました。これを中国人は「釣魚」と呼んでいます。面白い話をしましょう。中国のネット業界ではクラウド・コンピューティングは絶対に発展できないのです。それは決して自分の個人情報を信頼して預けられないから。Gメールは中国唯一のクラウドサービスですが、中国グーグルではなくほかの国のグーグルのサービスを利用したものです。

中国のIT技術者は非常に優秀であり、将来中国のIT業界が世界一になるという人もいる。でも中国のプログラマーは個々人は優秀であるけど、中国のIT産業全体が検閲によってコントロールされているなかではコピーすることしかできないので、本当の意味での想像力はないと僕は考えています。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ホンダ、半導体不足でメキシコの車生産停止 米・カナ

ビジネス

イスラエル、ガザ停戦協定の履行再開と表明 空爆で1

ビジネス

米韓が通商合意、トランプ氏言明 3500億ドル投資

ワールド

印パ衝突、250%の関税警告で回避=トランプ氏
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」にSNS震撼、誰もが恐れる「その正体」とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    コレがなければ「進次郎が首相」?...高市早苗を総理に押し上げた「2つの要因」、流れを変えたカーク「参政党演説」
  • 4
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大シ…
  • 5
    【クイズ】開館が近づく「大エジプト博物館」...総工…
  • 6
    「ランナーズハイ」から覚めたイスラエルが直面する…
  • 7
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 8
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦…
  • 9
    リチウムイオンバッテリー火災で国家クラウドが炎上─…
  • 10
    楽器演奏が「脳の健康」を保つ...高齢期の記憶力維持…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 4
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 9
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 10
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大シ…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 4
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 9
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中