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「子育て」に氾濫するバイアスを排除する方法

2021年10月20日(水)16時25分
船津徹

写真はイメージ Noel Hendrickson-iStock

<自分では気づかないうちに身に付いた物の捉え方の偏りから出る言葉や態度は、子どもたちだけでなく親自身をも苦しめます。「クリティカルシンキング」を子育てに取り入れ、バイアスに惑わされない思考を親子で鍛えましょう>

「たった1%のバイアス(思い込み)が、意思決定に大きな歪みをもたらす」

これは、Googleの人事担当者、ブライアン・ウェル氏の言葉です。Googleの採用では、長らく学歴が仕事のパフォーマンスに影響すると信じられてきました。ところが社内で追跡調査をしたところ、学歴と職務遂行能力は比例しないことが分かったのです。

「アイビーリーグやスタンフォード出身の学生は優秀だ」という「バイアス=思い込み」によってミスマッチの人材を採用したり、本当に会社に貢献してくれる才能ある人材を見落としていることがわかり、以来、Googleでは採用において出身大学を見ることをやめました。

子育てのバイアスに翻弄されてはいけない

バイアスはありとあらゆるところに潜んでいます。たとえば、

・男の子よりも女の子のほうが育てやすい
・男の子は男らしく、女の子は女らしく育てるべきだ
・これからの社会は、IQ(認知力)よりもEQ(非認知能力)が大切だ
・英語は6歳までにスタートしなければ身につかない

これらは子育てに関わるバイアスの例です。性別に関わりなく子どもが育てやすいかどうかは親の主観です。男らしさや女らしさも主観です。IQとEQはどちらも大切です。6歳を過ぎてから英語を身につけた人はたくさんいます。

親が自分の中にあるバイアスに気づかずに、たとえば「男の子は育てにくい」という言葉を鵜呑みにしてしまうと、「育てにくい」という先入観が定着してしまい、本当に男の子の子育てを難しくしてしまうのです。

バイアスを取り除くには「クリティカルシンキング=批判的思考」を身につけることが有効です。クリティカルシンキングは自分の中に存在する先入観や固定観念に気づき、物事の本質を見極め、より良い意思決定や問題解決を実現するための思考法です。

クリティカルシンキングは「自分の思考を疑う」ことからスタートします。他者との会話や情報メディアの中で「あたりまえ」「常識」「普通」「〜べきだ」「絶対」という言葉を見聞きした時(あるいは自分の心に浮かんだ時)は、「本当か?」「根拠は?」「なぜ?」「思い込みではないか?」と自分の思考を疑う習慣をつけていきます。

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