キャンパスに寝袋、知り合いのソファを転々......学業よりも部屋探しに苦しむ学生たち
また留学生は特に部屋探しが難しい。外国人の名前で問い合わせを出しても、ほとんど返事がないという報道も多く目にする。ヴェルト紙に紹介されたミュンヘンに住むシリアからの留学生は家探しが2年目に入ってしまった。ホームレスの施設に住みながら大学に通っているという。
フランクフルトでも学生の住宅難が加速
フランクフルトでもこの問題は深刻化している。英国のEU離脱の影響を受けて、欧州金融市場の新たな拠点になりつつあるフランクフルトは、英国からの人口流入もあって3万戸の住宅が不足していると言われている。現在、市内は建築ラッシュだが、当然その大半は高級物件である。もともと家賃が高い都市だがブレグジットが拍車をかけたことで、学生が市内に家を借りることは至難の技となってしまった。
そんなフランクフルトで、応用科学大学の学長のベルト・アルバースがキャンパス内にある自宅を、特に部屋探しが難しい留学生数名とシェアすることにしたことが報じられた。学生が家探しより勉強に集中できるよう、責任を感じてのことと学長は語る。
「私たちの大学では、学生の半数以上が移民の背景を持ち、低学歴の世帯から来ているが、一刻も早く多くの学生に安価な住宅を供給することが必要だ。この住宅難は今後、進学や教育の進歩の妨げになっていくだろう」と、同学長は経済格差が教育格差へとより強く繋がっていくことに対する警鐘を鳴らしている。
教育の機会均等を目指すものの、学生の住宅難問題はドイツ社会の中の弱者を炙り出してしまったようだ。