上司への媚び売りは疲労の原因に 心にも体にもダメージ大
ゴマスリすると疲労がたまる XiXinXing-iStock
<無理に上司アゲしたり、従属するようなゴマスリ・おべっかは、余計なタスクになり疲れの原因となる...>
先ごろ発表された研究は、職場で媚びへつらうことの自己ダメージを明言した。上下関係のある場所で働いた経験があれば、自らそう振る舞ったり、ゴマスリ社員として名を馳せる同僚も存在するだろう。そう、誰しもがイラついていたことの影響が解き明かされたのだ。
ニューヨーク・ポストによると、オレゴン州立大学の研究チームは、媚びを売る行為によって、時間の無駄遣い、アポイントの見逃し、同僚からの悪評といったデメリットが生じる可能性とともに、本人の精神的・肉体的なダメージについて報告した。
媚び売りは自分の体にダメージ
研究の対象となったのは、中国大手ソフトウェア会社の中間管理職75人。2週間にわたり日記を記すよう指示し、そこから彼等が上司に対しどのように、ゴマスリ・おべっかと自己アピールを繰り広げているかを解析した。
※ゴマスリやおべっかは、上司の意見への同調や尽力、お世辞。自己アピールは、自身のキャリアの成功に向けた上司からの信頼の獲得、職務上のパフォーマンス向上と他のキーパーソンへの積極的な関係構築を指す。
調査対象の従業員たちは日々、ゴマスリの範囲を広げていたという。そしてそれに比例するような形で、疲労を溜め、1日の終わりには彼らが消耗し切っていることが分かった。
「これは、ゴマスリ・おべっかが自らにダメージを与える行為だということを意味している。上手におべっかを使うに当たって、誠実さが強いられ、そこに自制心が生まれるから。上司をアゲたり、わざと従属するようなゴマスリ・おべっかは、もはや新たな職務となり疲弊する可能性がある」とKlotzは言っている。
それも、能力のない上司の下なら労力は、より一層増す。強制される誠実さと気持ちのギャップ、現実に対する本音を自制するパワー、できない上司をフォローする心労など、本来必要のない余計な「仕事」は、目に見えない大きなダメージを与える。
疲れ果てた従業員は、どうなるか――本来取り組むべき仕事もせずに同僚に不満を抱いたり、ネットサーフィンに興じるなど、オフィスの異常事態とも取れる「憂さ晴らし」が報告された。一方で自己アピールとされる行為は、精神や肉体的な疲弊との関連性は認められなかったという。
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