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米外交オバマの「日本冷遇」は誰も責めない
イランや中国のような対立相手よりイスラエルやインドのような同盟国に冷たいとオバマを批判する保守派が、日本には言及もしないのはなぜ?
そっぽ 核サミットでの日米首脳会談は夕食の席での10分だけだった(4月12日、ワシントン) Jason Reed-Reuters
ジョン・ボルトン元国連大使らの米保守派が外交政策で執拗に批判しているのは、バラク・オバマ大統領がアメリカと対立している国より同盟国に冷たい、ということだ。
彼らに言わせれば、オバマはイランよりイスラエルに冷たいし、中国よりもインド、ロシアよりも東欧諸国に冷たいという。
そうした批判の多くは誇張されている。どう考えても、アメリカがイスラエルよりイランを厚遇しているなどと言えるはずがない。オバマの現実主義的な外交戦略が具体化してきたために不満が湧き出た面もあるだろう。
それでも、私がすぐに3つの例を思いつけたのは、保守派の言い分にも一理あるからだろう。面白いのは、オバマが冷遇している同盟国の例として誰も日本を挙げないことだ。
ちょっと驚きだ。日本は先に挙げたどの国より古い同盟国で、極めて重要な国なのだから。英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙によると、最近の日米関係は問題だらけで危機にさらされている。
日本政府は米軍普天間飛行場の移設問題を自ら設定した5月末の期限までに決着するため「苦闘」していると、岡田克也外相は言う。
岡田は本紙の取材に対し、政権発足後7カ月の民主党連立政権は日米同盟を重視しており、米政府も納得する普天間飛行場の移転先を見つける決意だと主張した。
だが、それが可能かどうか鳩山由紀夫首相には「自信がない」とも岡田は言う......。
民主党が普天間飛行場を沖縄県外に移転することにこだわり、アメリカとの「より対等な関係」を求めるのは、50年間続いた日本の対米重視姿勢が弱まっている証拠ではないかと米政府は懸念する......。
大統領のせいではない
こんな有り様なのに、なぜオバマは「日本冷遇!」と集中砲火を浴びないのだろう。それには、2つの理由があると思う。
1)責任はどう見ても鳩山政権にある。FT紙によれば、日本政府は外交上かなりの失策を犯している。
2)オバマ政権は、鳩山政権より右寄りである(つまり、米保守派から見て鳩山政権はオバマ政権よりさらに左寄りである)。
保守派が不誠実だと言うつもりはない。ただ、オバマが冷遇し過ぎていると彼らが言う同盟国がすべて、保守政党が政権を握っている国だという点にはご都合主義も感じる。
もちろん、それは共和党に限った話ではない。例えば民主党はかつて、シュレーダー首相率いるドイツの左派政権に冷たいとジョージ・W・ブッシュ政権を批判したことがある。
結局のところ、時おり持ち上がる同盟国とのごたごたは、大統領のせいというより、半永久的な同盟関係に内在する緊張要因と時代ごとの利害の変化によるものだ。
[米国東部時間2010年04月20日(火)21時35分更新]
Reprinted with permission from Daniel W. Drezner's blog, 22/04/2010.©2010 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.