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オバマよ、TVに出てる場合か

自己陶酔演説とテレビ出演、相変わらずのブッシュ批判では「チェンジ」を実現できない

2009年9月28日(月)17時14分
ハワード・ファインマン(ワシントン支局)

人気者だが 視聴率は上がっても支持率は上がらない(9月21日、人気司会者デービッド・レターマンの番組に出演して) Kevin Lamarque-Reuters

 もしテレビに顔が映る頻度によって大統領の価値が決まるとすれば、バラク・オバマは早くもアメリカの歴史に名を残す偉大な大統領ということになる。

 言うまでもなく、現実はそんなに甘くない。雄弁で見栄えのするオバマはテレビ出演や公の場でのスピーチを繰り返しているが、いまだにおおむね「チェンジ」のシンボルのまま。「チェンジ」を実現できているとは言いがたい。

 医療保険改革、地球温暖化対策、金融改革、アフガニスタン政策、中東和平......オバマは重要課題を数え切れないほどリストアップしているが、どれ1つとして「済」のマークが付いていない。

 華麗なスタイルだけでは、現実の政治課題は解決できない。オバマは自分の人間的な魅力や弁舌にばかり頼るのではなく、自分がどうしたいかをもっと鮮明に打ち出し、政治的な戦いに挑んで勝利を収めていかない限り、歴史に名を残すどころか、2012年大統領選での再選すら危うくなる。

 テレビにたくさん登場すること自体は問題でない。問題は、話す言葉に中身が乏しいことだ。ステージの中央に立ち、スポットライトを浴びれば問題が解決すると思っているかのように見える。

 重要なスピーチになると、オバマはときどき「自分」を語り過ぎる。自分に酔っているようにすら見えるときもある。オバマの演説には、「I」や「my」などの1人称が余りに多い。

21世紀のレーガンになれるか

 前任者のジョージ・W・ブッシュとの違いを強調する戦略にも以前のような効果はない。08年の大統領選を勝利に導いたのはこの戦略だったが、大統領選は1年近く昔の話だ。未来志向を約束して当選したオバマがいまだに過去を見て、ブッシュを敵役として引っ張り出そうとしている。

 先ごろ国連で行った演説がまさしくそうだ。世界が知りたかったのは、中東和平に対するオバマの方針だった。しかしオバマは、ブッシュ政権の失政をあげつらっただけだった。就任して1、2カ月の時期であればまだしも、今そんなことを言ってもただの言い逃れにしか聞こえない。

 ワシントンの政界では、はっきりしない態度は弱さの表れと見なされる。とりわけ連邦議会では、テレビのトークショーにカッコよく登場したところで議員たちは敬意を示してくれない。大統領の支持率が揺らいでいるときは、なおさらだ。

 オバマは、大掛かりな改革法案を議会で成立させることの難しさをよく理解していないようだ。議会に主導権を与えれば、失敗するに決まっている。大統領が議会指導部の同意を取り付けたとしても、議員たちはその言うとおりになど動かない。議員は、法案に利害関係を持つ業界組織などの圧力団体の顔色を見て行動するものだからだ。

 改革法案を成立させるために必要なのは、大統領自身がはっきり自分の意向を打ち出すこと。その絶好のお手本が、オバマも尊敬しているというロナルド・レーガン元大統領だ。レーガンが何を望んでいるかはまったく疑問の余地がなかった。レーガンは、大規模減税の実施を大統領選と就任後1年目の最大のテーマとして明確に位置付けていた。

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