「ポケモンGO」は中国のスパイ? CIAの道具?...大人気ゲームを直撃した「スパイ疑惑」とは?

THE POKÉMON SPY PANIC

2025年1月8日(水)14時44分
ザック・ドーフマン(安全保障ジャーナリスト)
ペンタゴンとポケモンGO

理屈の上では国防総省の本庁舎(通称ペンタゴン)がポケストップになる可能性もある IVAN CHOLAKOV/ISTOCK (THE PENTAGON), JAKUB PORZYCKIーNURPHOTOーREUTERS (INSET)

<最高機密扱いの米施設周辺にレアなポケモンが続々と出現し、CIAでは異例の「ポケモン禁止令」にも発展。「まさかの疑惑」の全貌に迫る──>

アメリカの情報機関が2016年の夏、職員に向けてメッセージを発した──あなたがピカチュウの捕獲にのめり込むと、国の安全保障が危険にさらされる可能性がある、と。ポケモン(ポケットモンスター)キャラクターを隠れみのにして中国政府がのぞき見しているかもしれない、とのことだった。

この年の夏、スマートフォン向けGPS位置情報ゲームの『ポケモンGO(Pokémon Go)』が世界中で大ブームになっていた。アメリカでも毎日何千万人もの人たちがポケモンを捕獲しようと、スマホを片手にあちこち歩き回る姿が見られた。


その頃、デジタルスパイ活動が新時代に突入しようとしていた。ユーザーがデジタルゲームを楽しんだり、アプリやオンラインプラットフォームを利用したりすることで民間企業に譲り渡している情報は、情報機関にとって喉から手が出るほど欲しいものだ。

そこで情報機関は、そうしたデータを盗み出したり、買い取ったりし始めていた。

ポケモンGOの目覚ましいヒットは、株式会社ポケモンとの共同開発のナイアンティック社(Niantic)に思わぬ難題の数々を突き付けた。

米サンフランシスコに本社を置くナイアンティックは、もともとはグーグルの社内スタートアップとして出発し、15年にスピンオフして独立企業になった。同社は、ポケモン関連のビジネスを展開する株式会社ポケモンからこのゲームを開発する権利を取得した。

SDGs
使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが「竹建築」の可能性に挑む理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

英仏・ウクライナの軍トップ、数日内に会合へ=英報道

ビジネス

米国株式市場=S&P500・ダウ反発、大幅安から切

ビジネス

米利下げ時期「物価動向次第」、関税の影響懸念=リッ

ワールド

再送-日鉄副会長、4月1日に米商務長官と面会=報道
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 9
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中