サトウキビの搾りかす「バガス」でプラスチック依存から脱却する...折兼が挑む「フードサイクリング(食の循環)」とは何か?
循環する「バガスフードサイクリング」
しかし、環境に配慮した製品は、消費者の理解を得ることなしに普及させることは難しい。そこで環境に優しい製品であることの証明と実践を兼ねて、使用後の容器を堆肥化し、野菜を育てる「バガスフードサイクリング」をスタートさせた。
容器を利用したフードサイクリング(食の循環)自体が業界初の取り組みだったため、当初はその安全性が不安視されることもあったが、専門機関によるエビデンスの取得によって不安を払拭。現在では「バガスフードリサイクリング」は、学校での食育活動などを通じて賛同者・支援者の輪が広まっている。
これらの取り組みを学校やスポーツチーム、そして企業・自治体などと組んで推進しているのは同社に2022年に新設された「広報・SDGs課」だ。同課の味岡愛恵氏は次のように述べる。
「業界全体の意識改革や、飲食店やスーパーなどとの継続的な取り組みが今後の課題です。そのためにも容器の回収や堆肥化のスキームを構築し、バガスフードサイクリングを継続的に行っていく必要があります」
環境に配慮した製品は、決して安価ではない。だからこそ、業界全体を巻き込みながら、消費者の支持を地道に得ていく必要がある。
プラスチック製品を強みにしてきた企業が、あえて代替商品の開発と普及に挑んでいく...。そこには環境に配慮した製品を作るだけでなく、最後に自然に分解するまでの「つくる責任」を見て取ることができる。環境問題解決の糸口を実践と啓発活動を通じて生み出す好循環例として、多くの企業や消費者に影響を与えていくだろう。
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