脱プラスチックに向けて、高品質な代替品を提供...「紙」を起点にSXの推進に取り組むエステックの信念
世界初、環境にやさしく使い捨てで使用できるサステナブル紙製歯ブラシ
<海に流出したプラスチックごみが世界的な問題になる中、脱プラスチックを掲げて、紙製のアメニティやカトラリーの開発に注力するエステック。紙製品を通して、企業のサステナビリティと社会のサステナビリティの両立を目指す、同社の思いとは?>
世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや商品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えに基づいてニューズウィーク日本版は昨年に「SDGsアワード」を立ち上げ、今年で2年目を迎えました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。
「紙で世界を救う」をミッションに掲げて、SDGs製品の開発に着手
現在、世界の海には年間800万トンものプラスチックごみが流出し、その総量は1億5,000万トンを超えるといわれている。では、プラスチックごみの内訳でいちばん多いのは何か。食品の容器や包装袋などに代表される「使い捨てプラスチック」だ。
こうした状況を受けて、世界各国では脱プラスチックの動きが急速に進んでおり、フランスでは、2022年に野菜や果物のプラスチック包装を禁止する法律を施行。アメリカでも、2030年までにリサイクル率50%達成を目指す国家戦略が発表されている。
もちろん日本も例外ではなく、官民を挙げてプラスチック廃棄量の削減や包装の簡素化、代替材料の開発などに力を入れている。その好例といえるのが、「紙で世界を救う」をミッションに掲げた株式会社エステックの取り組みだ。
エステックは、フィルムやラミネート加工、プレス加工、印刷などにおいて先進的な技術を持つ会社だが、2020年からは環境に配慮したSDGs製品の開発にも注力。環境への負荷が少なく、汎用性も高いという紙の特性を生かして、紙製アメニティや紙製カトラリーといった製品づくりに取り組んでいる。
経営事業部の大村凌氏は、製品開発にかける思いをこう話す。
「当社の紙製品は、主にプラスチックの代替品として設計されており、世界中のプラスチック製品を紙に替えることで、持続可能な社会の実現に貢献したいと考えています。また、全製品にFSC認証紙を採用することで、持続可能な森林の管理・活用を支援していきたいというのも、大きな目標の一つです」
そうしたなか、脱プラスチックへの大事な一歩と位置づけているのが、世界初の試みとなる紙製歯ブラシだ。FSC認証を受けた国産紙で本体を形成し、ブラシ部分に植物由来の樹脂毛を使った歯ブラシは、包装にも紙を採用するこだわりよう。
プラスチック製の使い捨て歯ブラシに替わる、「サステナブルな使い捨て歯ブラシ」として、幅広い普及を目指している。本体の生分解性が高くコンポスト(堆肥化)が可能な点も、この歯ブラシのメリットの一つだ。