最新記事
SDGsパートナー

使用済みプラを資源に変える「特別」なリサイクル手法とは? レゾナックが示す資源循環モデル

2023年12月25日(月)13時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー
プラスチック・リサイクルプラント「KPR」

2003年から稼働するプラスチック・リサイクルプラント「KPR」

<分別の必要がなく、発生するCO2は炭酸製品に有効活用。プラスチックのリサイクルに付き物の難しさを解決した「ケミカルリサイクル」の恩恵は一般消費者にも>

世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや製品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えのもと、ニューズウィーク日本版はこの春、「SDGsアワード」を立ち上げました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。

◇ ◇ ◇
  

焼却時に排出されるCO2や、海へと流出したプラスチックによる海洋汚染など、使用済みプラスチックをどう処理するかが今日、世界的な課題となっている。株式会社レゾナックは、使用済みプラスチックを化学的に処理して資源として再利用する取り組みによって、脱炭素社会、サーキュラーエコノミー(資源循環型社会)の実現を目指している。

使用済みプラスチックのケミカルリサイクルで資源循環モデル構築へ

使用済みプラスチックは世界が直面する喫緊の課題の一つだ。毎年少なくとも800万トンのプラスチックごみが新たに海へと流出していると言われている。鳥や海の生物がそれを誤って食べてしまう生物被害のほか、漁業・観光業などの産業に及ぼす悪影響も深刻だ。経済協力開発機構(OECD)は2018年、その経済的損失は年間130億ドル(約1兆4000億円)にも上るとして警鐘を鳴らした。

こうした課題を解決すべく、株式会社レゾナックは使用済みプラスチックのリサイクル事業を展開している。同社は昭和電工と昭和電工マテリアルズ(旧日立化成)が今年1月に統合してできた新会社だ。

前身の昭和電工時代の2003年に、使用済みプラスチックを分解してアンモニアの原料とするプラスチック・ケミカルリサイクルのプラント操業を世界でも類を見ない商業規模で開始。昭和電工創業の地、川崎事業所(神奈川県川崎市)で行われているこの取り組みがKPR(Kawasaki Plastic Recycle)事業だ。処理量は、2022年1月に累計100万トンを達成し、年間で約7万トンの使用済みプラスチックを処理している。

主に家庭から排出された使用済みプラスチックをガス化し、水素と一酸化炭素の合成ガスを製造。水素はホテルの燃料電池向けに提供するほか、アンモニア合成の原料とする。アンモニアは肥料や虫刺され薬の原料に使用されたり、火力発電所の脱硝用としてそのまま販売するだけでなく、自社内でアクリロニトリル(アクリル繊維の原料)やグリシン(食品保存料など)などの原料に使用。一酸化炭素は二酸化炭素に変換して、保冷用のドライアイス(宅配サービスや食料品、ワクチン輸送など)や炭酸飲料用の液化炭酸として利活用することで、一般消費者にも還元される仕組みだ。社外とも連携し、こうした循環モデルの構築を推進している。

resonac_figure1.jpg

使用済みプラスチックを有効活用し、一般消費者に還元するレゾナックのリサイクルループ

試写会
カンヌ国際映画祭受賞作『聖なるイチジクの種』独占試写会 50名様ご招待
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 5
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中