細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チームが発表【最新研究】
Bioengineers Reveal Key to Reversing Cellular Aging
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Mahmoud-Ahmed-pixabay
<加齢にまつわるさまざまな病気の新たな治療法となる可能性が期待される研究最前線について>
細胞の「若さ」と「老化」を切り替えるタンパク質が、細胞の老化を逆転させるカギを握るかもしれない...。
大阪大学の研究チームは、異なる年齢の細胞におけるタンパク質「AP2A1(アダプタータンパク質2アルファ1サブユニット)」の発現を調査。その結果、驚くべき知見が得られたという。
「非常に興味深い結果」と述べるのは、本研究の執筆者の一人である出口真次教授だ。
「老化した細胞でAP2A1を抑制すると、老化が逆転し、細胞の若返りが促進されました。一方で、若い細胞でAP2A1を過剰発現させると、老化が進行します」と説明する。
年齢を重ねるにつれ、活動性の低下した細胞がさまざまな臓器に蓄積していく。こうした「老化細胞」は若い細胞よりも明らかに大きく、相互作用を助ける細胞の構造部分である「ストレスファイバー(Stress fiber)」の構成も異なっている。
「なぜ老化細胞がこれほどの大きさを維持できるのか、いまだに完全には理解できていません」と述べるのは、本研究の別の執筆者であるピラワン・チャンタチョティクル(Pirawan Chantachotikul)氏だ。
研究チームが着目したのは、老化細胞のストレスファイバーが多く産出することで知られるAP2A1タンパク質だ。
研究では、線維芽細胞(組織の構造を維持する細胞)や上皮細胞(皮膚や臓器の内外を覆う細胞)を培養し、老化細胞でのAP2A1産生を抑制するとともに、若い細胞での発現を増加させ、その影響を分析した。