最新記事
健康ライフ

「高齢者は粗食にしたほうがよい」は大間違い、肉を食べないとがんのリスクが上がる理由

2024年5月8日(水)18時43分
和田 秀樹 (精神科医)*PRESIDENT Onlineからの転載

【昔から日本人は肉を食べていた】

先に日本人が肉を食べるようになったのは、明治時代からだと言いました。文明開化で何でも西洋に習おうと、肉食を始めたとされています。

一方、日本は仏教が伝来してから肉食をやめて、明治になるまでは一切肉を食べていなかったというのが表の歴史として伝えられていますが、実はしっかり食べていました。

もっとも肉を食べていたのは戦国時代です。戦国武将はけっこう体が大きい人が多かったといわれています。彼らは肉もしっかり食べていたと想像できます。

ただ、庶民は肉を食べていないので、平均身長は低いままでした。庶民も肉を食べるようになって身長が伸びてきたのは、戦後になってからです。

敗戦直後は、食べるものがなかったので栄養状態も悪く、子どもたちもやせほそっていました。

子どもはたんぱく質が不足していると、成長できません。

そこで、国連児童基金(UNICEF)が、学校給食を通じて脱脂粉乳の配布を開始しました。そのおかげで、子どもたちがたんぱく質を摂れるようになったわけです。

戦後、学校給食を食べていた子どもということは、35~40年(昭和10~15年)くらいに生まれた人。

昭和1ケタ生まれの人たちは、10代後半か20代になっているので、それより少し後の世代ということになります。

【カレー、鶏のからあげ、ハンバーグ...昭和の子供たちは肉が大好き】

実際、昭和10~15年生まれくらいから、小さい人がすごく減ってきました。

それまでの日本人の身長は、男性で150cm台が普通でしたが、脱脂粉乳を摂るようになってから身長が伸び始めたのです。

たんぱく質が重要であることがわかってから、日本人も肉を積極的に食べるようになってきました。

昭和(昭和24~53年。1949~78年)生まれの「小学生が好きな食べ物ランキング」というのがあるのですが、ベスト3は1位から、カレーライス、鶏のからあげ、ハンバーグとなっています。

昭和の子どもたちも肉が大好きだったのです。

家庭での肉食があたりまえになってくると、日本人の平均身長はどんどん伸びていきました。

私が生まれた頃(60年、昭和35年)からは、男子は170cmくらいになりました。

その後も肉食がずっと続いていれば、今頃は日本人も欧米人と同じくらいの平均身長になっていたかもしれません。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウクライナ和平交渉が2日目に、ゼレンスキー氏と米特

ビジネス

中国万科、償還延期拒否で18日に再び債権者会合 猶

ワールド

タイ、2月8日に総選挙 選管が発表

ワールド

フィリピン、中国に抗議へ 南シナ海で漁師負傷
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 5
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中