「高齢者は粗食にしたほうがよい」は大間違い、肉を食べないとがんのリスクが上がる理由
【昭和50年代から肉を増やすのをやめた】
ところが、75年(昭和50年)くらいから、身長の伸びも頭打ちになってきました。それは決して、栄養状態がピークに達したからではありません。
同じ頃に言われ出したのが「肉の食べすぎは体によくない」でした。肉を摂りすぎると、心臓や血管にダメージを与えると言われるようになってきたからです。
そこから、「肉は減らそう」と言われるようになってきたのです。この根拠とされたのが、アメリカでの研究でした。
その頃のアメリカ人の食生活というと、300g以上の牛ステーキを平気でペロリと平らげているような時代です。
それに対し、日本人は1日70gぐらいしか肉を食べていません。私に言わせれば、むしろ日本人はもっと肉は食べないといけなかったのです。
それなのに、日本の医者たちも、「アメリカの医学の最新研究が肉を減らせといっているんだから、日本人も減らすべきだ」と言い始めたので、もうそれ以上、食べる肉の量が増えることはあまりなくなってしまいました。
今も変わっていませんが、日本ではアメリカ医学は何でも正しいということになっています。日本の医学は、いまだにアメリカ礼賛なのです。
【肉を食べないとがんのリスクが上がる】
アメリカ人と日本人では、もともとの体質も食生活も異なります。寿命を延ばすための対策も違って当然です。
何しろ日本人の死因の1位はがんなのに対し、アメリカ人の死因のトップは心筋梗塞などの虚血性心疾患です。
日本はがんで死ぬ国なのに、心筋梗塞で死ぬ国のデータを持ってきても、あてになるはずがありません。
アメリカが心筋梗塞で死ぬ人がもっとも多いのは、肥満が多いからです。それも日本人の感覚からしたら超肥満です。
BMI(肥満指数)という値があります。体重(kg)を身長(m)の二乗で割って求められる数値ですが、これが25以上だと日本では肥満ということになっています。
ところが国際的には30以上が肥満となっていて、この基準にあてはまる肥満がアメリカでは30%以上もいるのに対し、日本で同じ基準の肥満の人は3%しかいません。
BMI30がどのくらいかというと、身長が170cmの人なら、89kgで30を超えます。アメリカではこのくらいの肥満の人が、10人のうち3人もいるわけです。
このデータが日本人にあてはまるわけがないでしょう。
このような肥満の人はコレステロール値が高くなって、動脈硬化が進みやすく、心臓の血管が詰まって心筋梗塞を起こしやすいとされています。