最新記事
ヘルス

血糖値が急上昇する食事が「血管と全身の老化」をもたらす 炭水化物大好き人間を待つ「恐怖の結末」

2023年9月22日(金)14時25分
池谷敏郎(池谷医院院長、医学博士) *PRESIDENT Onlineからの転載

私たちが食事をすると、体内に「糖質」が取り込まれます。糖質とは栄養学的には、炭水化物から食物繊維(せんい)を除いたもので、消化分解されると「ブドウ糖」に変化し、それが血管内に送り込まれることで血糖値が上がります。

血管内が「高血糖」状態になると、膵臓(すいぞう)から「インスリン」というホルモンが分泌され、血液中のブドウ糖を肝臓や筋肉、脂肪組織に取り込んで、血糖値を下げるように働きかけます。

私たちの体は、本当に良くできています。

食後高血糖と活性酸素が動脈硬化を進行させる

ところが、運動不足や食べすぎによって「メタボ状態」になると、この優れた血糖コントロールのシステムに不具合が生じます。

蓄積した内臓脂肪から分泌される「生理活性物質」の悪影響や、ブドウ糖を取り込む筋肉量の減少にともなって、インスリンの効きが悪くなっていきます。

すると、糖質を多く含む食品を食べるたびに、コントロールが利かずに、食後の血糖値が急上昇する「食後高血糖」を繰り返すようになります。

食後高血糖は、血管内に過剰な活性酸素を発生させます。活性酸素は、酸化ストレスによって血管内皮細胞を傷つけ、LDLコレステロールなどを「酸化」して、動脈硬化を進行させてしまうのです。

血管の老化が急激に進む「悪循環」

私たちの体の中には、活性酸素の害から体を守る「抗酸化防御機能」が備わっており、通常は上手にバランスを取ってくれます。

ところが、活性酸素の発生量が多すぎて抗酸化防御機能を上回ると、そのバランスが崩れて、活性酸素によるさまざまなトラブルが引き起こされます(この状態を「酸化ストレス」といいます)。

血管内に大量の活性酸素が発生すれば、血管は酸化してサビついてボロボロになってしまいます。また、高血糖が続いてインスリンが過剰に分泌されると、ナトリウムが排泄されにくくなるなどの理由から高血圧の原因にもなり、動脈硬化の進行に拍車がかかります。

動脈硬化が進むことで、さらに血圧が高まるという悪循環にもつながります。

ビジネス
「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野紗季子が明かす「愛されるブランド」の作り方
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウクライナ紛争は26年に終結、ロシア人の過半数が想

ワールド

米大使召喚は中ロの影響力拡大許す、民主議員がトラン

ワールド

ハマスが停戦違反と非難、ネタニヤフ首相 報復表明

ビジネス

ナイキ株5%高、アップルCEOが約300万ドル相当
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 5
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    【投資信託】オルカンだけでいいの? 2025年の人気ラ…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 4
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 7
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 10
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中