血糖値が急上昇する食事が「血管と全身の老化」をもたらす 炭水化物大好き人間を待つ「恐怖の結末」
最強の老化物質AGEsが老化や病気を招く
もう1つの老化の原因、コゲ(=糖化)についても説明しましょう。
肌や筋肉をつくるのが、たんぱく質であることはよく知られていますが、血管の主要材料もたんぱく質です。血糖値の上昇から高血糖状態が続くと、血液中に余ったブドウ糖が血管壁のたんぱく質と結びつき、それが体温で温められることで「コゲ」が生じます。
これが「糖化」という現象です。
血管壁に糖化が起こると、そこに活性酸素が生じ、組織に変性が起こります。
糖化反応で変性したたんぱく質は、「AGEs(終末糖化産物)」と呼ばれます。AGEsは血管だけでなく、体のあちこちで発生し蓄積され、体内の細胞をどんどん老化させるため、「最強の老化物質」ともいわれます。
AGEsが肌に発生すると、肌のコラーゲンに変性を起こして弾力を失わせ、しわやたるみがどんどんできるという、"ゾッとするようなこと"が起こります。
さらには、糖尿病のリスクが上昇したり、その蓄積によって、がんや認知症のリスクが上がることもわかってきています。
甘いもの、ごはんやパンで血管の老化が進む
「酸化」も「糖化」も、引き金となる最大の要因は「血糖値の急上昇」です。そして、血糖値を上昇させるのが、「糖質」を多く含む食品をたくさん食べることです。
とくに、主食のごはんやパン、麵類などの穀類、また、「皮膚が水をもらえない花のようにしおれていく...20代→60代で毛細血管が4割まで減る『ゴースト血管』の恐怖」という記事において「老けて見える人のNG生活習慣」として示した、砂糖や甘い清涼飲料水などの甘味類、果物類などの甘いものは糖質が多く、血糖値を急上昇させてしまう食品や飲料の代表です。
ごはん好き、パン好き、甘いものは欠かせないという人は少なくないかもしれませんが、ここではぜひ、糖質の多い食事を続けていると、高血糖状態をくり返し、そこから血管の老化が進む、ということを覚えておいてください。
もちろん、完全にやめる必要はありません。意識をして摂りすぎないようにすることが重要なのです。
池谷敏郎(いけたに・としろう)
池谷医院院長、医学博士
1962年、東京都生まれ。東京医科大学医学部卒業後、同大学病院第二内科に入局。97年、医療法人社団池谷医院理事長兼院長に就任。専門は内科、循環器科。現在も臨床現場に立つ。生活習慣病、血管・心臓などの循環器系のエキスパートとしてメディアにも多数出演している。東京医科大学循環器内科客員講師、日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会循環器専門医。