ウォーキングとランニング、どちらが「健康寿命」にはいいのか?
Walking or Running?
運動の目的や強度を考えながら体を動かすことを習慣にしよう KAPOOK2981/ISTOCK
<体重を減らすにはランニングのほうが時間効率はよいが、体重の負荷がかかるという点では避けるべき人もいる。活動的であり続けるために、あなたが選択すべきはどちらか>
マラソンでも犬の散歩でも、活動的であることは体や脳に数え切れないほどのメリットをもたらす。なかでもランニングとウオーキングは心臓の健康を向上させ、睡眠を改善し、免疫システムをサポートして気分を高め、より健康的な長生きにつながる。
どちらも有酸素運動に分類される。ただし、ランニングをしたことがある人なら誰でも、この2つが同じではないと断言できるはずだ。
「米保健福祉省の最新の身体活動ガイドラインでは、健康を維持して活動的なライフスタイルの恩恵を受けるために、成人は週に150~300分間の中程度の有酸素運動か、75~150分間の激しい運動が必要とされている」と、JKFフィットネス&ヘルスの創業者で米スポーツ医学会の認定トレーナーのジョン・フォードは言う。「これは1日約30分を週5日に相当する」
ウオーキングとランニングはどちらも1週間の推奨運動量にカウントされるが、それぞれの効果は目標や健康のレベルによって異なる。
減量が目的の場合、基本的にはカロリー不足になると体重が減る。「余分なカロリーの主な貯蔵形態が脂肪だから、消費量より多く摂取すると脂肪が増えて、摂取量より多く消費すると脂肪が減る」と、南オーストラリア大学のティモシー・オールズ健康科学教授は言う。
体重を減らすには、ランニングのほうが余分なカロリーを燃焼させる時間効率が高い。「速く歩いたり走ったりするほどエネルギーの消費量は増える」と、オールズは言う。「競歩の選手はマラソンランナーに匹敵するほどのアスリートだが、ほとんどの人はそこまでのレベルの『パワーウオーキング』はしない」
米国運動協議会の推定によると、体重160ポンド(約72.5キロ)の人はランニングで1分間に約15.1キロカロリーを消費するのに対し、ウオーキングでは8.7キロカロリーしか消費しない。これは走るほうがスピードが速く、1分間の移動距離も長くなるから当然だ。では、距離に対する運動効果を比較するとどうなるだろうか。
「ランニングは、より強度の高い運動の中で最も効率的な1つだ」と、フォードは言う。
「複数の筋肉群を使うことに加えて、体重の負荷がかかる運動なので、筋肉と骨を重力に逆らって動かすことになる。自重負荷がかかる動きは骨密度の増加と維持に役立つ。さらに、重力に逆らって動く要素が加わることで、動きを完成させるためにより大きなエネルギーが必要になる」
その結果、カロリーの燃焼効率が上がるだけでなく、より効果的な運動になる。