最新記事

BOOKS

「死にたい」と言った私を救った、母の「意外な言葉」──サヘル・ローズさん

2022年4月21日(木)19時37分
flier編集部

彼女は自分のために生きてくれた。自分は生きていたんじゃなく、生かされていたと気付かされました。その瞬間、生きる目標が母親を幸せにすることへと変わりました。

私は本書と人生を通し、お母さんがやってきたこと、存在したことを歴史に刻みたかったのです。この本は、お母さんに向けてのラブレターであり、感謝状です。

── お母さんは本書を読まれましたか。

はい。読んで、泣いていました。「サヘルがここまで自分の足で立って生きてくれていることが本当に良かった」と言ってくれています。宝物のように受け止めてくれました。

面と向かって言えないことも書いたのですが、それによってお母さんの思いも聞けました。いい交換日記になったのではと思います。

弱みを見せる

── ここで少し、仕事の人間関係の悩みについて伺いたいと思います。よく、職場での不満やネガティブな感情を抱え込んでしまうといった声を耳にしますが、どうしたら吐き出すことができるでしょうか

お互いの関係性が大事だと思います。私は仕事先でいつもと違う様子の人がいたら、率先して声を掛けるようにしています。

「大丈夫? 元気?」と聞くと、その人は「元気じゃない」とは言いづらいので、「うん、元気......」という答えになりがちです。「何かあった?」と聞くと、相手も答えやすいように感じます。

声を掛けるとともに、自分の弱さをさらけ出すようにしています。すると、「この人は失敗や苦しかったことを話してくれる。それなら、自分の苦しみも聞いてくれるはずだ」と思ってもらえるものだと、経験から学びました。

「腹を割って話す」という言葉がありますが、日本には意外とそういう関係が見られません。むしろ、殺伐とした空気、「阿吽の呼吸」で物を言わせない空気があるように感じています。

電波塔になりたい

── 今後の活動についてお教えください。

役割として、エンターテインメントの仕事をきっちりこなし、表現していきたいです。電波塔になることによって、世界で置き去りにされている人々、声を届けることができない子どもたち、日本の養護施設のこと、路上生活の方々、さまざまな課題を抱える家庭の方々など、いろいろな声を当事者と関わっていく中で、伝えられるようになりたいです。

そのために、自分の名前の力、自身の影響力を高めたいと思ったことが、この世界に足を踏み入れた一番の目的でした。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

高市首相、中国首相と会話の機会なし G20サミット

ワールド

米の和平案、ウィットコフ氏とクシュナー氏がロ特使と

ワールド

米長官らスイス到着、ウクライナ和平案協議へ 欧州も

ワールド

台湾巡る日本の発言は衝撃的、一線を越えた=中国外相
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナゾ仕様」...「ここじゃできない!」
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 4
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 5
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 6
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 7
    【銘柄】いま注目のフィンテック企業、ソーファイ・…
  • 8
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 9
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中