あなたも要介護予備軍? 噂の「ロコモティブシンドローム」自己診断と予防法
自立した生活ができる期間を指す健康寿命を伸ばすため求められるロコモ対策
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いつまでも自分の足で歩いていたい © FredFroese-iStock
ロコモティブシンドローム(以下、ロコモ)という言葉をご存じだろうか。一言でいうと、「立つ」、「歩く」といった移動機能に着目した概念だ。海外ではサルコペニアという言葉がよく知られているが、これは加齢に伴い筋肉が減少していく現象のこと。ロコモは、筋肉に限らず、骨や関節、神経などのいずれか、あるいは複数に障害が起こり、移動機能の低下(歩行障害)をきたした状態で、誰もがなり得る。2007年に日本整形外科学会が提唱し、この言葉が生まれた。最近よく耳にする機会に遭遇するようになってきたが、ロコモに注意しなければいけない背景には何があるのだろうか。
他の疾患に隠れて、見落とされがちな運動器の役割
厚労省の調べによると、日本人の平均寿命は男性80歳、女性86歳となっている。しかし、介護を必要とせず自立した生活ができる期間を指す健康寿命では、男性70歳、女性73歳となり、平均寿命より10〜13歳も短い。この期間は、歩くことができずに家に閉じこもったり、介護や支援を必要としたりしている状態というわけだ。では、なぜ要介護や要支援になるのかというと、国民生活基礎調査によると原因のトップは運動器の疾患だという。運動器とは、骨・関節・靭帯・筋肉・神経の総称。介護の原因として、脳血管障害や認知症を思い浮かべる人は多いかもしれないが、健康寿命を延伸するためには、実は運動器はとても重要な役割を担っている。
そこで注目されているのが、前述したロコモであり、その要因は加齢や運動不足、不適切な生活習慣とされている。骨が弱くなると骨粗鬆症になり、関節・軟骨・椎間板に異常をきたせば変形性関節症や変形性脊椎症を誘発する。そして、筋肉・神経系の能力が低下することが、神経障害やサルコペニアの原因にもなる。その結果、疼痛や関節可動域の制限、筋力やバランス能力の低下などが引き起こされ、移動機能の低下(歩行障害)が進行するというわけだ。