最新記事

働き方

「残業時間別」で見た日々の暮らしと仕事のリアル 10時間、40時間、80時間、200時間──最も不幸を感じるのは?

2021年6月18日(金)20時10分
トイアンナ(ライター・起業家) *東洋経済オンラインからの転載

飲みに行けるのは、早くて深夜0時。その時間から付き合ってくれる人は会社の仲間しかいません。だから、人間関係が社内で完結していくのが残業200時間の世界です。体か心を壊さない限り、仕事を心から楽しんでいる人も少なくありません。なぜなら、外の職種と比較できるほど、外との接点がないからです。正直、私が仕事を一番楽しんでいた時期は、これくらい働いていたときでもありました。

土日も仕事、お盆も仕事。結婚していれば家庭は、「崩壊する」か「相手は相手で独立してやっている」パターンに大きく分かれます。

残業が多い企業の見分け方

筆者は事務系の職種で、月230時間の残業で「あっ、これは続けたら死ぬな」と実感しました。これが、肉体労働での残業時間であれば、その負担は尋常ではないと思います。つい最近、新型コロナウイルスの治療にあたる医師の残業時間が月平均で295時間を記録したと報道されました。ここまで来ると、立っているのが奇跡といえるレベルです。

なお、残業は法律で月45時間が上限となっています。繁忙期などやむをえない場合のみ例外としてそれ以上の残業が認められていますが、それでも月100時間未満、2~6カ月の平均で80時間以内とされています。しかし、その法律の上限を超えて残業させる企業は依然として残っています。

さて、残業が多い会社を見分けるには、どうすればいいでしょうか。ヒントになるのが、「残業時間を開示しているかどうか」です。

書いていない=激務というわけではありませんが、仮に私が激務企業の社長だったとして、あえて応募者数が減りそうな情報をバカ正直に「弊社の残業時間は月130時間です」と公表したいとは思いません。

労働時間は業界や役職、時期で異なる

また、OBOG訪問をして、「前のお休みには何をされていましたか?」と質問するのもおすすめです。そこですぐに答えが出てこない社員が多いなら、休めないほど忙しいのかもしれません。

厚生労働省の「労働基準関係法令違反に係る公表事案」は見ておきたいものです。こちらは労働法に違反し、社名公開された企業が掲載されています。内定をいただいた後でも、念の為こちらをチェックして、万が一を防ぎましょう。

最後に、労働時間が短いことが絶対善でもなければ、「長く働いている人が偉い」わけでもありません。残業代未払いやパワハラなど法に反するものは言語道断ですが、労働時間は業界構造や役職、時期によっても大きく動きます。自分がどういう働き方だと幸せなのか、この記事をご覧いただきながら考えるきっかけになればと思います。

※当記事は「東洋経済オンライン」からの転載記事です。元記事はこちら
toyokeizai_logo200.jpg

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

英仏・ウクライナの軍トップ、数日内に会合へ=英報道

ビジネス

米国株式市場=S&P500・ダウ反発、大幅安から切

ビジネス

米利下げ時期「物価動向次第」、関税の影響懸念=リッ

ワールド

再送-日鉄副会長、4月1日に米商務長官と面会=報道
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 9
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中