最新記事
メンタルヘルス

ウォーキング・セラピーは「どこでもいい」「ただ歩けばいい」わけではない

2020年3月12日(木)15時25分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

自然の中を歩かなければウォーキング・セラピーの効果を得られないわけではありませんが、可能な限り、緑の多いエリアを探すことは重要です。たとえば、通勤の一部を徒歩に変えてはどうでしょう。1時間早く家を出れば、ウォーキングをしても始業時間までに職場に到着できます。仕事を終えた後に公園や森、川沿いの道を選んで徒歩で帰宅するのもいいでしょう。住んでいる地域の地図を広げ、緑の多いエリアや散歩にちょうどいい道を探してみましょう。

(中略)

歩き方

「歩き方」と言われても、一方の足をもう片方の足の前に出す動きを繰り返すだけ......と思っていませんか。それは誤解です。

皆さんは、ウォーキング・セラピーという冒険に初めて挑もうとしています。つまり、不安や気分の落ち込み、ストレスなどと向き合う道を選んだわけですが、そうした内面の現状は往々にして、動きが遅い、視線が下がる、肩を落としているなどの形で外見にも表れています。

重荷を背負っているような感覚は、すぐには消えないでしょう。それでも、「荷物」を軽くするためにできることはあります。頭を下げて歩く代わりに、姿勢を意識してまっすぐに立ち、目的と自信を持って歩いてみましょう。

「自信のあるふり」でも構いませんから、まずは5〜10分試してみること。「ふり」であっても、6章で解説する「ピグマリオン効果」が期待できますが、今の段階では、自信を持って歩くことには意味がある、とだけ覚えておいてください。

しっかりした姿勢で歩いているときには、脳から体に「思い切って力強く動け」と指令が送られています。また、思い切り体を動かせるようになると、それが自己肯定感を醸成し、さらなる自信を生み出します。一つ一つの動きが神経ネットワークに影響を与えますから、この訓練は、ウォーキングに前向きに取り組むための効果的なエクササイズとなります。

ネガティブなエネルギーをポジティブなものに変換できる点も、この訓練の効能です。それも一時的ではなく、長期的に。前向きなエネルギーが積み重なると徐々に、意思決定の際に自信を持って決断できるようになり、不安や先送りを減らすことにもなります。

※抜粋第1回:欧米で注目を集める「歩くだけ」心理療法、ウォーキング・セラピーとは何か
※抜粋第2回:ウォーキングは、脳を活性化させ、ストレスを低下させ、つながりを感じさせる


ウォーキング・セラピー
 ストレス・不安・うつ・悪習慣を自分で断ち切る
 ジョナサン・ホーバン 著
 井口景子 訳
 CCCメディアハウス

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

20200317issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年3月17日号(3月10日発売)は「感染症VS人類」特集。ペスト、スペイン風邪、エボラ出血熱......。「見えない敵」との戦いの歴史に学ぶ新型コロナウイルスへの対処法。世界は、日本は、いま何をすべきか。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ミャンマーで総選挙投票開始、国軍系政党の勝利濃厚 

ワールド

米、中国の米企業制裁「強く反対」、台湾への圧力停止

ワールド

中国外相、タイ・カンボジア外相と会談へ 停戦合意を

ワールド

アングル:中国企業、希少木材や高級茶をトークン化 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 3
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌や電池の検査、石油探索、セキュリティゲートなど応用範囲は広大
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 7
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 8
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 9
    【クイズ】世界で最も1人当たりの「ワイン消費量」が…
  • 10
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中