最新記事
トレーニング

瞑想とランニング、共通点は「呼吸がカギを握る」こと

2018年12月25日(火)18時10分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

「いま、ここ」だけに気持ちを集中させる難しさ

瞑想とは何も考えない状態だと思っている人もいるが、それは正しくない。著者によれば、「考えたいときに考え、考えたくないときに考えない、という能力を養っている」のが瞑想だ。

常にあらゆる考えや情報が頭の中を駆け巡っていると、自分の心に意識を向けることができなくなる。そこで、瞑想によって自分の心に触れることで、思考を自在に制御する力が身につくという。言い換えると、余計なことは考えないでいられる状態を作る、ということになるだろう。

そのために教えられるのが「いま、ここ」だけに気持ちを集中させることだが、これは口で言うほど容易くはない。そこで瞑想では呼吸に注意を払い、意識して呼吸をすることで、心を自然と「いま、ここ」に向けさせようとする。なぜなら、現在(いま)というのは常に呼吸と共にあるからだ。

そして呼吸は、ランニングにとっても非常に重要だ。走り慣れていないとかえって息を止めてしまったり、深い呼吸ができずに息苦しくなったりしてしまう。だが上達してくれば、走りながらでもリラックスして深い呼吸をすることができるようになる。

普段意識していない呼吸を意識するのが瞑想であり、乱れる呼吸に否が応でも意識が向いてしまうのがランニングだ。いずれにせよ、呼吸をうまくコントロールできるようになることが秘訣なのだ。

たった5分から始める心のトレーニング

呼吸の他にも、瞑想とランニングには共通点がある。その1つが「最初がいちばん困難」ということだ。なぜなら、どちらも習慣を変えようとしているからだ、と著者は言う。だからこそ初期段階は特に重要であり、新たな習慣を身につけるのだという強い決意も必要になる。

ランニングであれば、ウォーキングの途中に数分だけ走る「ウォーク・ランニング」から始めることを著者は勧めている。そうやって「走る」ことに少しずつ体を慣らしていくのだ。このように、それまで動いていなかった体を動かす訓練がランニングだ。

瞑想では、ランニングとは対照的に「スピードを落とす」ことが最初のハードルになる。日々せわしなく駆け巡っている心を落ち着けて、呼吸だけに焦点を当てるのだ。つまり、動いているものを動かなくする訓練が瞑想だと言える。

だがこれも、心が新しいスピードに慣れていないと難しい。その段階を乗り越えられれば大きな成果を得られるようになる。5分でもいいから、とりあえず少し座ってみるといい、と著者は言う。そのうち、心がゆっくりと動くことに慣れていく。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

林氏が政策公表、物価上昇緩やかにし1%程度の実質賃

ワールド

米民主党議員、環境保護局に排出ガス規制撤廃の中止要

ビジネス

アングル:FRB「完全なギアチェンジ」と市場は見な

ビジネス

野村、年内あと2回の米利下げ予想 FOMC受け10
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 7
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 10
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中