最新記事
トレーニング

瞑想とランニング、共通点は「呼吸がカギを握る」こと

2018年12月25日(火)18時10分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

lzf-iStock.

<瞑想は心のトレーニング、ランニングは体のトレーニング。同じではないが、共通点はいくつもある。「サブスリー」ランナーでもあるチベット仏教の高僧が語る、2つの活動の知られざる関係性>

グーグルやインテル、フェイスブックといった最先端企業も採用していることで知られる「マインドフルネス」という瞑想法が世界的なムーブメントになっている。瞑想は今や宗教を超え、日常的活動として広く浸透した。

反面、日本で瞑想を日々の習慣にしているという人は、さほど多くないのではないだろうか。坐禅との違いも分かりにくい。瞑想を、スピリチュアルなものや、何か特別なものだと思っている人も多いかもしれない。

だが、著名なチベット仏教の高僧によれば、ストレスに満ちた現代社会を生き抜き、さらに自らを成長させるために、瞑想は大切な「心のトレーニング」だという。そして、瞑想と対を成す「体のトレーニング」がランニングなのだ、と高僧は語る。

『限界を乗り超える最強の心身――チベット高僧が教える瞑想とランニング』(サキョン・ミパム著、松丸さとみ訳、CCCメディアハウス)は、瞑想とランニングという一見かけ離れた2つの活動が持つ知られざる関係性を、高僧でありランナーである著者が解き明かした一冊だ。

多くの人は体の健康に気を遣うが、その体を動かすのは心

著者のサキョン・ミパム氏は、チベットで特に崇敬されている歴史上の名僧の生まれ変わりとされている人物で、世界的な規模を誇る瞑想センターの指導者でもある。彼の父が設立したこのセンターが、欧米に仏教の概念と瞑想を広く普及させたと言われている。

また同時に、ミパム氏はこれまでに9つのフルマラソンを完走したランナーである。自己ベストタイムは3時間5分と「サブスリー」(3時間を切ること)まであと一歩のところまで迫っており、市民ランナーとしてはトップレベルだ。

とはいえ、速く走りたければ瞑想をすればいいというわけではないし、ランニングが瞑想の代わりになるわけでもない。ランナーであれば、長時間走っているうちに頭が真っ白になって、まるで瞑想をしているようだと感じる経験があるかもしれない。しかしそれは瞑想ではない。

著者も指摘しているように、「ランニングはランニングであり、瞑想は瞑想」だ。

多くの人は体の健康に気を遣うが、その体を動かしているのは「ボス」である心だ、と著者は言う。ランニングによって体を鍛えられるのと同様に、瞑想によって心を鍛えることができる。ランニングと瞑想の両方を習慣とすることで、心と体をバランスよく鍛えるべきである、というのが著者の主張だ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国万科の社債37億元、返済猶予期間を30日に延長

ワールド

中国軍、台湾周辺で「正義の使命」演習開始 30日に

ビジネス

先行きの利上げペース、「数カ月に一回」の声も=日銀

ビジネス

スポット銀が最高値更新、初めて80ドル突破
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それでも株価が下がらない理由と、1月に強い秘密
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 7
    「アニメである必要があった...」映画『この世界の片…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    2026年、トランプは最大の政治的試練に直面する
  • 10
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中