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ウクライナ戦争

2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、妻の「思いがけない反応」...一体何があったのか

THE STORY OF KIRILL, A RUSSIAN PRISONER

2024年12月5日(木)16時52分
尾崎孝史(映像制作者、写真家)

足を運びウクライナの惨状と戦争捕虜の返還を訴えたアンナ

アンナは国際会議などに足を運びウクライナの惨状と戦争捕虜の返還を訴えた(ローマ教皇との面会を伝える記事)

夏には41度、冬には氷点下32度を記録したこともある地での拘留生活。食事がコップ一杯の水だけのこともあり、身長181センチのキリルの体重は75キロから42キロに減った。心の支えは家族の存在だった。

「僕とアンナにはたくさんの計画があった。みんなでヨーロッパに行けるよう車を買いたい。2人で子供の成長を見守りたい。待っていてくれる家族のことだけを考えて生きていた」


開戦以降、今年8月下旬までにウクライナとロシアは55回の捕虜交換をして、3500人以上の兵士が帰国を果たした。しかし、ウクライナメディア「スラバ・ディロ」によるとアゾフ兵士についてはわずか7回で、約1100人の捕虜のうち帰国できたのは201人だった。

ウクライナの独立記念日である8月24日には115人の兵士が帰国したが、アゾフ兵士は一人も含まれなかった。ゼレンスキーは記者会見でこう語った。「さまざまな理由からアゾフ兵士の帰還には困難が伴う。そのため私は家族や関連の政府機関、国際機関と協力して取り組む」

秋を迎えた9月2週目の金曜日、22番監房のキリルに看守が声をかけた。「荷物を持って出ろ」

部屋が変わると思って通路に出たキリルは、そのまま警察の護送車に乗せられた。そして、他の3人の捕虜たちと同様に目隠しをされた。どこへ行くのか、一切説明はなかった。

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