最新記事
経営

「集中力続かない」「ミスが増えた」...メンタル不調への対処は「睡眠負債」と「マルチタスク」がカギ

2024年5月30日(木)19時35分
日下慶子 ※経営ノウハウの泉より転載
オフィス 睡眠不足

TORWAISTUDIO-shutterstock

<メンタル不調は誰にでも起こるもの。早めに気づいてセルフケアを。そして会社の相談窓口、利用できる外部のサービスも増えている>

「やらなければならないことがあるのに、集中力が続かない」「つい他のことに気を取られてしまって仕事が進まない」「ぼんやりしていてケアレスミスをしてしまう」というご経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。

体調がよく、集中力が維持でき、仕事がはかどるという方の話を聞くと、コンディションの整え方が上手な場合が多いです。

また、いつも元気で頑張っているわけではなく、調子が悪いときには早めに気づき、回復できるよう、自分で自分のケア(以下、セルフケア)することが上手です。

最近では、個人で努力するだけでなく、メンタル不調は誰にでも起きうるという前提のもと、組織としてメンタルヘルスケアを取り入れている会社も増えています。

今回は、本格的なメンタル不調にならないために、働く方が早めに気づいてセルフケアができるように、そして、組織としては従業員のメンタル不調の予防や早期発見のために何ができるかについて、解説していきます。

自律神経の乱れの徴候?ささいな体調不良に気づこう

自律神経とは「自分でコントロールしなくても動く神経系」ということで、呼吸や循環、体温の調節、消化など身体の機能が必要に応じて動くように調整してくれている神経のことです。

自律神経には、交感神経と副交感神経があり、仕事など「頑張って戦うモード」のときには交感神経が優位になります。一方で副交感神経は、リラックスして身体の回復をするときに優位になります。

状況に応じて、交感神経と副交感神経がうまく切り換わってくれるのが理想的なのですが、仕事のストレスで交感神経優位の状態が続くと、うまく切り換わらなくなってしまい、仕事が終わった後や休日などでもリラックスや回復モードに入れないということが起こりえます。

自律神経がうまく切り換わって働かないと、身体の反応としていろいろなところに支障をきたします。よく見られるものとしては、めまい、動悸、手足の冷え、疲れやすさ、抑うつ気分や睡眠障害などです。

(参考記事)メンタル不調で休職...産業医がいない企業で実施すべきメンタルヘルス対策とは

集中力低下や自律神経の乱れに気づいた際の対応

それでは、「最近仕事に集中できないな」「なんとなく身体がだるくて元気が出ないな」と気づいたら、どのようにすればよいのでしょうか。

■対応1:自分にとって必要な睡眠をとる

やはり自分にとって必要な睡眠を確保することが大切です。産業医面談で話を聞いていても、仕事などが忙しいと睡眠時間を削る方が多いようです。

必要な睡眠時間は努力によって短くできるわけではなく、無理して睡眠を削っても睡眠負債が積み重なるだけなのです。

睡眠負債が積み重なると、自律神経の乱れや集中力低下、業務遂行能力の低下、ひいてはメンタル不調などといった影響を及ぼします。

また、睡眠は身体機能にも密接に関わっています。睡眠が不足すると、食欲に関するホルモンにも影響し、太りやすくなるともいわれています。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

英財務相、増税巡る批判に反論 野党は福祉支出拡大を

ビジネス

中国の安踏体育と李寧、プーマ買収検討 合意困難か=

ビジネス

ユーロ圏10月銀行融資、企業向けは伸び横ばい 家計

ビジネス

成長型経済へ、26年度は物価上昇を適切に反映した予
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 5
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 6
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 7
    ミッキーマウスの著作権は切れている...それでも企業…
  • 8
    ウクライナ降伏にも等しい「28項目の和平案」の裏に…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    あなたは何歳?...医師が警告する「感情の老化」、簡…
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 9
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中