最新記事
働き方

金銭面でも設備の面でもハードルは大きく低下! 今こそ会社員も「多拠点ライフ」を実現すべき理由

2024年4月10日(水)17時27分
flier編集部

多拠点生活の実践者・石山アンジュさん

大分でのテレワーク風景

また、旅行のときに、金曜をワーケーションにして土日を観光に充てるといったこともおすすめです。「この地域に住むとしたら?」と考えてみる。すると、ホテルの探し方一つとっても、仕事ができる環境があるか、Wi-fiが使えるかなどアンテナが立ってくるし、その地域の見方が変わってきます。旅行の延長線でのワーケーションなら、気軽に始めやすいと思います。

多拠点サービスを実際に使ってみると、企業で勤めている方を含めて多種多様な人が利用しているとわかるし、自分に近しいロールモデルに出会えるようになります。

──個人だけでなく企業経営者にも、多拠点ライフを促すメリットはありますか。

従業員が多様なフィールドの知識やつながりを得て、それを自社にフィードバックしてもらえるのは、大きなメリットです。また地震などの不測の事態に備えるうえでは、オフィスを手放して従業員が多拠点生活をできるようにすれば、固定費を大幅に下げられて、柔軟な経営体質を築きやすいのではないでしょうか。

地方で得られた、「何者でもない自分を受け入れてもらえる感覚」

──石山さんご自身も、東京都・渋谷のシェアハウスと大分県・豊後大野市の古民家に住まいをかまえています。多拠点ライフをしていてよかったことは何ですか。

1つは、地方で感じられる「何者でもない自分を受け入れてもらえる感覚」でしょうか。東京のような大都市では、自己紹介でも、自分の仕事が何なのかを語ることが求められます。しかも、東京では、世代やセグメントの同質性が高いコミュニティが多いものです。一方、地方なら、名刺もほぼ必要なく、温泉でたまたま居合わせた人とのたわいもない話から、多世代の人とのつながりが生まれることが多々あります。

もう1つよかったのは、自分の手で生活を作っていく安心感を得られることです。大分では、お米や野菜を作ったり空き家をDIYしたりして、半自給自足の暮らしができます。長引く物価高騰のなか、すべてを消費でなくDIYでも得られることは自信にもつながるのです。

DIYを楽しんでいる石山さん

──多拠点ライフを送ることで、ご自身の仕事に活きている点はありますか。

地方には、地球の生態系に基づいた知識や、「あるもの」を利用する文化が根付いています。SDGsのような話は、地方の農家さんがすでに実践しているケースもしばしば。社会課題の解決に活かせる知恵にふれることは、仕事にもよい影響を与えています。

また、BtoCのサービスなら、生活者に対する想像力が求められます。地元のスーパーやスナック、温泉などで色々な生活者の視点を知ることは、自社のビジネスを考えるうえでリアリティのある気づきを与えてくれます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ベネズエラ沖で2隻目の石油タンカー拿捕、米が全面封

ワールド

トランプ氏関連資料、司法省サイトから削除か エプス

ワールド

北朝鮮、日本の核兵器への野心「徹底抑止」すべき=K

ワールド

米、3カ国高官会談を提案 ゼレンスキー氏「成果あれ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦い」...ドラマ化に漕ぎ着けるための「2つの秘策」とは?
  • 2
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 6
    70%の大学生が「孤独」、問題は高齢者より深刻...物…
  • 7
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 8
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 9
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 10
    ウクライナ軍ドローン、クリミアのロシア空軍基地に…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中