最新記事
働き方

金銭面でも設備の面でもハードルは大きく低下! 今こそ会社員も「多拠点ライフ」を実現すべき理由

2024年4月10日(水)17時27分
flier編集部

「スタンダードな家族像」はもういらない

──石山さんの共同コミュニティ「Cift(シフト)」の活動や「拡張家族」の概念に共感を覚えています。家族の多様なあり方が認められる社会に向けて、今後どんなことが必要だとお考えですか。

昔は家族6人くらいで1人の子どもを育てていました。いまは核家族が主流なうえに、共働きが増え、夫婦二人で何もかも支えなければならない状況です。育児や介護の負担が大きいと、負担や期待の押しつけ合いが起きてしまう。大事なのは、こうしたつらさを、いかに複数の人でシェアしていけるか。

Ciftはまさに、血縁や地縁に捉われず、世界観や価値観を共有する人たちがともに暮らすことでつながる新しい家族の社会実験、つまり「拡張家族」の実践の場。メンバーが色々なスキルや経験知をもとに、子育てや仕事、生活における様々なシーンで支え合っています。

また、子どもの教育を考えると、多様な「生き方のロールモデル」に身近に出会えることは重要だと捉えています。私は実家がシェアハウスだったので、小さい頃から生き方の正解は色々あると知ることができました。拡張家族やシェアハウスのように、多様な大人にふれ合える環境は、多様性に寛容な子どもを育てるうえで意義があるのではと思っています。

──石山さんはミレニアル世代の「家族」を取り巻く課題に対する政策提言にも携わっています。ミレニアル世代やZ世代の「希望する家族像」というのはあるのでしょうか。

若い世代の方は、新しい家族像を求めているのではなく、「スタンダードな家族像を作らないこと」を求めていると思うんですね。家族への期待も、家族との距離感も人によってさまざま。「家族のモデル」が定義されると、それに当てはまらず、傷つく人も出てきてしまう。だから、個々人に合う形にカスタマイズでき、100人いれば100通りの家族観を尊重するようなサポートや社会の寛容性がますます求められていると思います。

コミュニティで大事なのは、「したい人がする」という自発性の循環です。拡張家族のなかには、たとえば子供と接するのが得意な人もいれば、苦手な人もいる。得意な人が得意なことを担うと、各自が居心地のいい生活の場を作れると思います。

また、他のソリューションとして、得意でない部分は家事代行サービスや家事ロボットなど、テクノロジーで代替する方法もあります。これは、私が代表理事を務める一般社団法人Public Meets Innovation(パブリックミーツイノベーション)がまとめた、ミレニアル世代による政策ペーパーでも提言しています。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国、ロンドンの新大使館建設承認巡る英政府の判断延

ワールド

台湾高官、中国批判「経済問題より拡張主義優先」 

ワールド

タリバンは停戦維持のため武装勢力抑制すべき=パキス

ワールド

トルコ中銀、外国投資家との会合で利下げ幅縮小示唆 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    TWICEがデビュー10周年 新作で再認識する揺るぎない…
  • 7
    米軍、B-1B爆撃機4機を日本に展開──中国・ロシア・北…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 9
    若者は「プーチンの死」を願う?...「白鳥よ踊れ」ロ…
  • 10
    【インタビュー】参政党・神谷代表が「必ず起こる」…
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 6
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 7
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 8
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 9
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 10
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中