10万件の悩み相談を受けた精神科医が気付いた、メンタル不調を抱えてしまう人の「共通項」
──たしかに、日本人はあまり「助けて」と言いませんね。世代的な傾向はありますか?
私は世代ではなく時代的な問題があると思います。東日本大震災のあった2011年まではお金が価値観の中心でしたが、震災以降は「絆」や「つながり」という言葉が言われるようになり、「心の時代」に変わりました。そして今度はコロナになって、「コミュニケーションしたいけどできない」という時代になった。だから今は自分の気持ちをあえて言語化したり、友達と会ってコーヒーを飲んだりとか、そういうことが大切だと思います。
悩みは「解決」しなくていい
──本書では、悩みを「解決」ではなく「解消」すると表現していることが印象的でした。
みなさん悩みや問題があったら、解決しようとしますよね。解決とは、原因を見つけて対処することです。でも原因ってそう簡単には取り除けないですよね。そうすると「ああ無理だ!」となって、どんどん落ち込んでいくわけです。
では、解消とはどういうものか。マイナス10をいきなり0にするのが解決ならば、マイナス9にするのが解消です。たとえば、人に話を聞いてもらうだけでスッキリして元気が出た、となると、もうマイナス9になるわけです。できることをひとつずつやっていくことによって、マイナス8になり7になり、気がついたらマイナス3くらいになっている。すると「なんとかなる」って思えますよね。
──つまり、マシにしていくということですね。
あと、精神的に余裕がもてると良いアイデアが出てくるんですよ。マイナス3くらいになったら「これもやったらいいなあ」と思えてくるので、ポンポントーンと0になっていきます。本書『言語化の魔力』はマイナス10を0にしていく本ですが、前著の『毎日を楽しめる人の考え方』(きずな出版)は、0を10にする本なんです。日々の生活で「映画面白かったわ」「友達と飲みに行って楽しかった」というとプラス1で、それをどんどん増やしていくとプラス10になります。たとえ今がマイナスでも楽しいことを増やしていけば、プラスにすることもできるんですよ。
『毎日を楽しめる人の考え方』
著者:樺沢紫苑
出版社:きずな出版
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「雑談」が悩めるビジネスパーソンを救う
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