やりたいことが見つからない...「かくれ繊細さん」の特徴と、共通する悩みの解決法
そのうえで、おすすめの方法は、行動療法の1つであるシェイピングです。シェイピングとは、目標をスモールステップに分けて、達成感を得ながらステップアップしていく方法です。最初の一歩目は、1、2分でできることが望ましく、全体の100分の1の行動でかまいません。それくらい小さなステップなら自然とその後も継続できます。
例えば本を書くというゴールなら、一歩目が「まえがきを書く」だと大きいので、もっと細分化します。「2行だけ書く」とハードルを下げると、実際には10行書けていることも。かくれ繊細さんの場合、もう一人の自分が「本当は30行書けるでしょう」とつぶやくことがあります。そんなときは「止めにきたんだね」と対話してみる。最初の一歩に抵抗を感じている自分と、もっとできるのにと指摘する自分という、両方の存在を認識することがポイントです。かくれ繊細さんは本来努力家。やると覚悟が決まれば目標に向かっていけます。
強みで補い合うカルチャーなら、才能を発揮できる
──職場でかくれ繊細さんが才能を発揮できるようにするためには、どのようなカルチャーをめざすとよいでしょうか。
かくれ繊細さんの複雑性のように、個々の特徴に配慮がなされ、強みと弱みを補い合えるカルチャーがいいですね。かくれ繊細さんは、気遣いができるし、先見の明があってアイディアが豊富。アイディアをゼロから形にするのは苦手な一方で、尊敬している人のサポートやプロセスの改善、適材適所を見抜くことが得意です。こうしたかくれ繊細さんの得意なことはなかなか仕事の評価軸にのりにくいもの。ですが、それが強みだと理解され、多様な人の強みで補い合う空気があれば、かくれ繊細さんは水を得た魚のように才能を発揮していきます。
──そうしたカルチャーとかけ離れている職場にいて、居づらさを感じているときの対処法はありますか。
2つあって、1つは、自分が刺激を感じているものを明確にして、刺激自体を減らすことです。かくれ繊細さんは、一般的な人よりも五感を通じて多くの刺激を受けてしまう。たとえば、マウントや圧をかけてくる人など苦手な人が職場にいたら、イヤフォン型の耳栓をつけるのもいいでしょう。聴覚からの刺激を減らすだけで居やすさが変わります。また、配置換えの希望や転職など、環境を変える道もあります。
対処法の2つ目は、感情が揺れ動くのを客観視することです。かくれ繊細さんは感受性豊かなので、感情が揺れ動くのを止めることはまず難しい。何も刺激がないことでも自分を自分で痛めつけることもある。だから、そこに翻弄されてしまう前に、感情が揺れ動く自分を認めるとケリがつけやすいですね。本にいくつかワークを活用して、体の感覚を深く知ってもらえたらと。