日本企業の「DX」の立役者が、意外にも「紙の本」からの情報収集を大事に考える理由
経営に必要なことはすべて『銀河英雄伝説』から学んだ
── 高橋さんにとって人生を変えた一冊や経営に影響を与えた本について教えていただけますか。
いちばん印象深い本は、中学時代に読んだ『銀河英雄伝説』です。銀河系を舞台にした帝国軍(専制主義)と自由惑星同盟(民主主義)の戦いを描いたSF小説です。経営で必要なことはすべてこの本から学んだといってもよいです。人間や組織の真実が非常にうまく描かれています。大人とは無条件に素晴らしい存在ではなく、足の引っ張り合いをするなど大人げない面もあるのだと(笑)。若い天才がそういった大人たちを打ちのめしていくのですが、そこから、大事なのは年齢や経験ではなく、高い理想や能力であると学びました。2巻まで読んだらもう止まらなくなりますよ。
創業期の2004年頃に読んで影響を受けた本もいくつか紹介します。1冊目は『奇跡の経営』です。ブラジルで、学生が就職したい企業No.1に選ばれたセムコ社CEO、リカルド・セムラー氏による驚愕の経営論です。社員が数千人規模になっても組織図がない、事業計画がない、人事部がないために社員をコントロールするしくみもない。そんなないない尽くしの非常識な会社でありながら、売上の平均成長率は年147%といわれています。なぜそうした高業績が実現できるのかが書かれた一冊です。役職や階級のないフラットな組織形態を意味する「ホラクラシー組織」の経営者が、こぞって参考にした本としても有名です。
『奇跡の経営 一週間毎日が週末発想のススメ』
著者:リカルド・セムラー
翻訳:岩元貴久
出版社:総合法令出版
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2冊目は『コア・コンピタンス経営』で有名なロンドン・ビジネススクール客員教授ゲイリー・ハメル氏の著書、『経営の未来』です。彼は、従業員すべてが自発的に働き、創造性を発揮できるマネジメントを提唱しました。本書では、それを実現している企業の具体例が書かれていて、それを知るだけでも興味深いです。
『経営の未来:マネジメントをイノベーションせよ』
著者:ゲイリーハメル、ビルブリーン
翻訳:藤井清美
出版社:日経BPマーケティング(日本経済新聞出版)
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