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経済制裁ロシア、デフォルトがついに現実化へ 米が国債支払い禁止
米財務省は、ロシアが米銀に預けている準備資産を外貨建て国債の返済資金として使用するのを差し止めた。写真はルーブル硬貨。2018年10月撮影(2022年 ロイター/Maxim Shemetov)
米財務省は、ロシアが米銀に預けている準備資産を外貨建て国債の返済資金として使用するのを差し止めた。これでロシアが30日の猶予期間内に別の資金を調達するか、何らかの打開策を見つけない限り、デフォルト(債務不履行)が現実化するとの見方が浮上している。
ロシアはウクライナ侵攻開始からこれまで、西側にかつてないほど大規模な経済制裁を科されながらも、何とか対外債務のデフォルトを回避してきた。しかし米政府が締め付けを強化しようとしている以上、返済のハードルは非常に高くなった。
◎米財務省が講じた措置とは
ロシアは4日、外貨建て国債の元本償還として5億5240万ドル、利払いとして8400万ドルの支払い期限を迎えた。
米財務省は従来、ロシア中央銀行が米金融機関に保有する外貨準備をドル建て国債の利払いに充当することについて「基本的にケースバイケース」で容認していた。しかし4日になって、「ロシア政府が米金融機関に設けた口座からのドル建て債返済は一切認めない」と通告した。
既にロシアが持つ金・外貨合計6400億ドル相当のおよそ半分は、米国と同盟諸国により凍結されている。
◎何が変わったか
ロシアが4日に予定していた債務返済額は、2月24日のウクライナ侵攻後で最も大きい。米財務省は、この返済規模が「ロシアにより困難な決断を強いる絶好の機会」になったと説明した。
しかし、米銀が支払いを代行する「コルレス銀行」、つまりロシアの債務返済の実行役となること自体を禁止される兆しは見当たらない。JPモルガンは、コルレス銀行として最近のロシアの利払い業務を行っている。
ロシアはまだ凍結されていない残り半分の準備資産を活用している可能性があり、デフォルト回避のために引き続きこれを頼りにしてもおかしくない。
また、ロシアは原油と天然ガスの輸出代金としてなお数十億ドルを受け取っている。タンカー追跡データを分析した国際金融協会(IIF)の見積もりでは、3月のロシアの原油輸出収入は123億ドルと、前年同月から急増した。
ロシア政府は4日、原油価格上昇のおかげで4月のエネルギー輸出による収入は7984億ルーブル(96億ドル)増加するとの見通しを示した。
◎今後の展開
4日に期限が到来したソブリン債の元利支払いには、30日の猶予期間が存在する。つまりロシアは、実際のデフォルトに陥る前に返済の時間は残されている。
今のところロシア側に返済の意思があり、自国通貨建てでは1998年の財政危機以来、外貨建てでは1917年のロシア革命以来となるデフォルトを免れてきた。
ただ、もう1つ大事な期限が迫りつつある。米国の個人や団体はロシア財務省、中銀もしくは政府系ファンドとの間で、債務返済や利払いに関する取引が一時的に認められており、それを裏付けているのは米財務省外国資産管理室(OFAC)の通達だ。
この通達の有効期限は5月25日。米財務省は延長するかどうか明らかにしてない。ロシアは5月27日に、より大規模な支払いが必要となる。同国の外貨建て債は現在15本、発行残高は約400億ドルに上る。ウクライナ危機以前の段階では、およそ200億ドルをロシア国外の投資ファンドや資産運用会社が保有していた。
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