何かに取り憑かれたかと思うほど心揺さぶられる本...「一流の生き方」の教科書
「寸言こそ人を感奮興起させる」。この言葉の通り、稲盛さんの寸言に込められたエネルギーが読者の方々に伝わったのではないでしょうか。
『稲盛和夫一日一言』
著者:稲盛和夫
出版社:致知出版社
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変化の激しい時代にこそ、人は「心のよすが」となる普遍的な教えを求める
── 『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』にも『稲盛和夫一日一言』にも、一流の方の人生哲学・仕事観が詰まっています。いまの時代に、読者がこうしたテーマに惹かれる理由は何だとお考えですか。
藤尾 変化の激しい時代にこそ、「何のために生きるのか」「何のために働くのか」といった原理原則が求められるからではないでしょうか。
『致知』の誌名は、2500年ほど前に記された東洋古典『大学』の一節に由来します。『大学』や『論語』のように、何千年もの時を超えて読み継がれてきた古典には、普遍的な教えが凝縮されています。
現在の日本に目を向けると、長引くデフレに加え、コロナ禍やデジタル革命が起き、めまぐるしい変化に直面している真っ只中です。こうした転換期こそ、平時以上に人は「心のよすが」となる指針を求めるのではないかと思います。
ビジネスパーソンでも学生でも、目標に向かって真剣に取り組んでいる方が本書を読めば、心が研ぎ澄まされ、目標を達成する力を得られるはずです。一方、悲しい出来事に直面している人が本書にふれると、「これほどつらい状況でも乗り越えられるのか」と勇気づけられます。こんなふうに、両方の局面において心に響く言葉を見つけられる一冊ではないでしょうか。
「やらされている百発より、やる気の一発が勝る」
── お二人にとって特に印象に残っているインタビューはどのようなものでしたか。
藤尾 全部といいたいところですが、とりわけ印象深いものの1つは、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンをV字回復させたマーケターの森岡毅さんです。インタビューの際は、森岡さんがもともと『致知』を愛読されていたこともあってか、マシンガントークがとまりませんでした。
非常にしびれたのが、「ある問題について、地球上で最も必死に考えている人のところにアイデアの神様は降りてくる」という言葉です。これは私自身が編集者として寝ても覚めても企画のことを考え抜くという心懸けとも符合しており、実感を以て感動しました。
入社当初から「著者に感謝され、感動される仕事をしよう」という気構えで仕事をしていました。もっとも、これは私がそうしようと思ったわけではなく、弊社社長が創刊間もない頃から培ってきた仕事魂であり、脈々と受け継がれてきた致知編集部のDNAです。