何かに取り憑かれたかと思うほど心揺さぶられる本...「一流の生き方」の教科書
小森 印象的だったインタビューといえば、愛知工業大学名電高校などで長く野球部監督を務めた中村豪さんの言葉が浮かびます。中村さんは元プロ野球選手のイチローの恩師でもありました。そんな中村さんの「やらされている百発より、やる気の一発」という言葉に、感電するくらいの感動を覚えました。
当時の私は致知出版社に入社して3、4年目。編集部のレベルの高さに打ちのめされ、どうしたら上司や先輩方のような文章をまとめられるようになるのだろうかと悩んでいた時期でした。ある朝、上司のゴミ箱にあったテープ起こし原稿を見つけて、記事の完成形と見比べてみる勉強をはじめました。振り返ると、こうして自ら貪欲に技術を学びとろうとしたことが、最も編集力を磨くことにつながっていったと思います。『365人の仕事の教科書』は、そういう「やる気の一発」を授けてくれる本ではないかとも思います。
── 最後に、お二人の今後のビジョンについて教えてください。
藤尾 今年1月に『致知』編集長を拝命しましたが、私の夢は『致知』創刊100周年を見届けてこの世を旅立つことです。これからも真実の体験に裏打ちされた本物の言葉や教えに光を当て、「真剣に生きる人の心の糧になる」という創刊理念を追求し、体現していきたいですね。現在『致知』の購読者数は11万5000人にのぼりますが、人間学の教えを求めているけれどもまだ出会えていない方々は、もっともっとたくさんいらっしゃると思います。そういう方々のためにも『致知』読者20万人、日本一をめざして邁進していきます。
小森 まずは3月発刊予定の『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』の第2弾を、書名の通り、より多くの方に「生き方の教科書」として届けていきたいです。「致知」の「致」には、「押し広げる」という意味もあると伺ったことがあります。「致知」の言葉の通り、知を自分にとどめず広く伝えていきたいですね。
編集は、素材を切ったり貼ったりして自分の腕を見せつけるものではなく、すでに備わっている命を活かすもの。致知出版社で働くなかでそのように教わってきました。あらゆる命を輝かせることが編集の仕事であるという姿勢を貫いていきたいと思います。
藤尾允泰(ふじお さねやす)
1988年東京都生まれ。致知出版社社長・藤尾秀昭の二男。2011年学習院大学法学部卒業後、致知出版社入社。以来一貫して、月刊『致知』の編集・発行・普及に携わる。2017年『致知』副編集長、2019年取締役就任。2022年1月より『致知』編集長を務める。
小森俊司(こもり しゅんじ)
1979年滋賀県生まれ。2004年致知出版社に入社し、致知編集部へ。2014年より書籍編集部。2021年書籍編集部次長。主な担当書籍に『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』『齋藤孝の小学国語教科書 全学年・決定版』。
flier編集部
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