「第1段階」合意の米中通商交渉に重要な食い違い 中国の見解は
米中両国が発表した第1段階の合意内容に関して、調印のタイミングを含めて、微妙だが重要な両国間の解釈の食い違いが浮上しつつある。写真は5月20日、北京で撮影(2019年 ロイター/Jason Lee)
米中両国が13日に発表した第1段階の貿易合意は、米政府の説明では来年1月初めにも正式文書が調印される。
ただこの合意内容に関して、調印のタイミングを含めて、微妙だが重要な両国間の解釈の食い違いが浮上しつつある。
以下に示すのは主な項目ごとの中国政府の公式な見解だ。
米製品の輸入拡大
米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は13日記者団に、合意には中国政府が今後2年で米国製品・サービスの2000億ドル相当を追加購入するとの約束が含まれていると述べた。
ところが中国政府はそうした具体的な購入額を明示していない。13日にはそれぞれ会見に応じた何人かの高官が「中国企業は、世界貿易機関(WTO)のルールと市場ルール、企業原則の下で、米国などの諸国から品質が高くて競争力のある製品とサービスの輸入を拡大する」といずれも事前に用意したコメントを読み上げた。
記者からの購入対象に関する質問には、個別の製品やサービスではなく市場環境を重視すると強調したのだ。
中国国家発展改革委員会の寧吉喆副主任は「米国の製品とサービスに市場性があり、中国人民のニーズを満たせる限り、米国からの輸入拡大はわれわれの望むところだ」と語り、中国は必要に応じて米国からエネルギーや工業製品、サービスの輸入規模を広げる可能性があると付け加えた。
500億ドルの米農産品購入
寧氏は、トランプ米大統領が13日に中国が500億ドルの農産品を買うと主張したことを聞かれると、中国が高品質かつ市場競争力のある米農産品の調達を増やすのは「間違いない」としながらも、具体的に何を購入するかは今決めている最中だと明言を避けた。
中国農業農村省の韓俊次官は、合意を実行すれば「われわれが米国から輸入する農産品は格段に増える」と発言。国内市場安定化のためには豚肉と鶏肉の輸入が「喫緊に必要とされている」と明らかにするとともに、小麦やトウモロコシ、コメも輸入することになるとの見方を示した。それでも中国は食料安全保障の観点から、穀物自給を引き続き重視するとくぎを刺した。