米中貿易、ほぼ全面的な関税が「ニューノーマル」の恐れ
米中貿易戦争が始まるまでは、世界経済の前途は非常に明るかった。17年終盤といえば、トランプ政権が投資促進や成長てこ入れのための包括的な減税を実施する直前で、欧州は金融危機後の低迷から脱却し、中国経済は減速しながらも底堅かった。
国際通貨基金(IMF)は17年10月、18年の世界経済成長率が3.7%に達すると予想していた。
ところが貿易戦争開始以降、中国は商用機を除くほとんどの米国からの輸入品、計1100億ドル相当に関税を課している。米国は年間約5500億ドルとなる中国からの輸入品のうちおよそ3750億ドルに関税を発動した。
そのため、IMFのゲオルギエワ新専務理事は今月、貿易摩擦によって世界経済が「同時的な減速」に陥ったと警告するとともに、主に投資を冷え込ませたり市場に打撃を与える不確実性を通じて、これまでに発表された関税が世界総生産を7000億ドル分下押ししたと述べた。[nL3N26T4G3]
米連邦準備理事会(FRB)も同様に、貿易摩擦で世界総生産は8500億ドル、1%相当が失われつつあるとの見通しを示している。
逆に今回の部分合意で、トランプ政権が15日に予定していた中国向け制裁関税引き上げの見送りは、世界総生産へのマイナス効果を0.1%ポイント和らげるに過ぎない、とオクスフォード・エコノミクスは試算した。
ブルッキングス研究所の中国専門家デービッド・ダラー氏は「(トランプ政権は)他の関税を維持することで中国に対して強硬的で、決して屈しないと主張できる。さらなる話し合いや中国市場の開放に向けた展望はそれほど大きくないように思われる」と話した。
(Heather Timmons記者、David Lawder記者)
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