最新記事

ビジネス

ネットワークと「80対20」が変化を起こす4つの理由

2018年10月25日(木)16時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

metamorworks-iStock

<結果の80%は原因の20%から生まれるという「80対20の法則」は、これまで「なぜそうなるのか」分かっていなかった。今、その理由は明らかになり、この法則がますます広がっている事象もそれで説明できる>

「利益の80%は顧客の20%がもたらす」「仕事の成果の80%は、費やした時間の20%から生まれる」という「80対20の法則」は、世界の変化に伴い進化しているのだと『人生を変える80対20の法則』の著者、リチャード・コッチは言う。

36の言語に翻訳され、世界的ロングセラーとなって20年。このたび刊行された『増補リニューアル版 人生を変える80対20の法則』(リチャード・コッチ著、仁平和夫・高遠裕子翻訳、CCCメディアハウス)には、その進化を解説した4章が新たに加えられた。

本書から一部を抜粋し、3回にわたって掲載するシリーズ。ここでは「第17章 八〇対二〇のネットワークで成功する」から一部を抜粋する。実は当初、「八〇対二〇の法則がなぜ、こうもあてはまるのかよくわかっていなかった」が、その謎は明らかになったと、コッチは書く。

※第1回:あの「80対20の法則」が90対10、99対1になる時代へ

◇ ◇ ◇

本書の初版と第二版を書いた段階では、八〇対二〇の法則がなぜ、こうもあてはまるのかよくわかっていなかった。経済学者のジョセフ・シュタインドルの以下の言葉を引用した。「長い間には、川に運ばれた土砂が堆積していくように、誰にも説明できない経験則、パレートの法則(八〇対二〇の法則)によって経済の景観が変わっていく」と。だが、いまわたしは、なぜかがわかったので興奮している。八〇対二〇の法則がますます広がりつつあり、不思議な形でわれわれの生活に影響を与えているのはなぜかも説明できる。

答えは、ネットワークの爆発的な成長力にある。ネットワークの数と影響力は長期にわたって大きくなってきた。当初の数百年はゆっくりとしたペースだったが、一九七〇年頃から成長が加速し、ダイナミックになっている。ネットワークも八〇対二〇の法則に則った振る舞いをし、典型的な八〇対二〇の分布を描く。そして、たいてい極端な形になる。つまり、法則が広がったのは、ネットワークが広がったからだ。ネットワークが増えて、八〇対二〇現象があちこちで目につくようになった。

ネットワークの影響力が増すにつれ、八〇対二〇の法則の影響力も増している。この一文の重要性は、いくら強調しても強調しすぎることはない。マニュエル・カステルズが言うように、ネットワーク社会は、人類の経験における質的な変化を示している。そして、この変化の性格のもとをたどれば、八〇対二〇の法則に行き着く。ネットワークほど、八〇対二〇の法則が貫徹した組織や経験は存在しない。

ネットワークを理解することは決定的に重要だ。ネットワークがなぜ重要性を増し、どのように八〇対二〇の法則を発揮しているのか、それを自分たちが有利になるように変えるにはどうすればいいのか。八〇対二〇の法則とネットワークがわかっていなければ、現にいま起きているビジネスや社会の根本的な変化を理解できないのだ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米

ワールド

アングル:バングラ繊維産業、国内リサイクル能力向上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 7
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 8
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 9
    ビザ取消1300人超──アメリカで留学生の「粛清」進む
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中