独裁政権の裏をかくハッカーたちの頭脳戦
カナダチームの携帯型ルーター
OLPCはエジプトにもこのパソコンを送ったことがあるが、今回のような状況下で使う予定はないという。
もっとも、パソコンにこの機能が内臓されていなくても、メッシュネットワークを作る手だてはある。ピシェバーに連絡してきたカナダの技術者チームは、メッシュネットワークのソフトを内蔵した、レンガほどの大きさの小型ルーターを開発したという。「リュックや車でこうしたルーターを何台も持ち歩き、街中や山、屋根の上にセットして回る。そうすれば遮断できないインターネットを作り出せる」と、ピシェバーは言う。
3〜4カ月以内にこうしたルーターの供給を始めるには、100万ドルの資金が必要になる。名前は伏せているものの、ピシェバーはすでにあるベンチャー投資家から融資の約束を取り付けているという。
おそらくエジプトのネット接続は、携帯型ルーターが完成する前に回復するだろう。それでもピシェバーが完成を望んでいるのは、抑圧的な政府を持つ他の国々でも活用したいと考えているからだ。イランやシリア、イエメンなどがエジプトと同じ事態に陥らないようにすることが彼の目標だ。
幸いピシェバーには、世界中に数千、数万のオタクやハッカーや技術者という味方がいる。