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米中関係アメリカにもレアアース輸出規制の強硬中国
中国の環境技術補助金に米業界が異議を唱えると、中国はレアアースの輸出停止で対抗。報復合戦の始まりか
切り札 世界の生産量の95%を占めるレアアースの輸出規制で今度はアメリカを揺さぶる中国 Bobby Yip-Reuters
米通商当局は10月15日、中国が自国の環境技術部門に多額の補助金を不当に支給しているというUSW(全米鉄鋼労組)の訴えに応じて中国に対する調査を行うと発表した。クリーンエネルギー関連事業は、中国を含む多くの国々で戦略的な優先順位の高い重要な産業だと位置づけられており、中国が自国産業を優遇することによって、アメリカの産業に悪影響を及ぼす恐れがある。
アメリカのこの決定に対して19日、中国はある明確な答えを示した。ニューヨーク・タイムズ紙によれば、中国政府がアメリカに対するレアアースの輸出を制限し始めたというのだ。
レアアース(希土類)と総称されるこの17種類の元素は、最新電池や薄型テレビなどのハイテク製品や、ミサイルやジェット機などの軍備品を製造する上で欠かせないもの。世界の生産量のうち約95%を中国が占めている。
このニュースが飛び込んできたのは、中国が来年、各国へのレアアースの輸出枠を今よりさらに削減すると発表したのと同じ日だった。中国は7月、今年の輸出枠を前年比で40%削減すると決定したばかり。来年はさらにここから30%削減される見込みだと、ニューヨーク・タイムズ紙は報じている。
レアアースの供給は、多くの企業や国々にとっての死活問題。日本は尖閣諸島沖で中国漁船の船長を逮捕した問題で、9月21日から輸出規制を受けている。今回のことでレアアースの中国依存に懲りた数社はその後、オーストラリアやアメリカ、モンゴル、カザフスタンなどに眠るレアアースの採掘や生産を再開させる動きを活発化させている。だが、こうした計画が実を結ぶのは何年も先のことだ。
もし中国の対米輸出停止が本当なら、米中間で最近じわじわと増えつつあった経済上・貿易上の「報復合戦」をエスカレートさせる可能性がある。11月の米中間選挙を前に、ただでさえアメリカ全体がピリピリした雰囲気に包まれていることを考えると、オバマ政権としても対抗措置をとらざるを得ないのではないか。
Reprinted with permission from "The Oil and the Glory", 20/10/2010. © 2010 by The Washington Post Company.