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アップルの庭 次世代OSを発表するジョブズ(4月8日) Robert Galbraith-Reuters
私を含め一部のメディア連中がアップルのiPadに夢中になっているのを見て、「狂っている」と思った人もいるだろう。だが、その後の展開を聞いてほしい。
アップルは4月8日、iPadとiPhone向けの次世代OS(基本ソフト)「iPhoneOS4」を発表した。これは、まともな人なら大したニュースじゃないことくらい分かるだろう。そもそもOSなんてマニア向けのものだし、この新OSの発売は夏以降になるという。
それでも記者発表には興奮したブロガーやジャーナリストたちが殺到。記者発表をブログでライブ中継した者さえいた。発表内容がいったい何だったのか、気にしながら2時間も待ってなんかいられないというわけだ。さらに悲しいのは、恐らく多くの人が実際に仕事の手を止めて、そうしたブログを読んだだろうということ。もしもあなたがその1人だったら──どうかあなたに神のご加護がありますように。
それはさておき、肝心のニュースは、iPhoneOS4がマルチタスク(パソコンのように複数のアプリケーションを同時に起動して同時に作業すること)対応だという点だ。
ハードが格好良すぎてつい言いなりに
他社の携帯電話のOSは既にマルチタスクに対応しており、アップルは本来なら他社にこれほど後れを取ったことを恥じるべきだ。だがアップルは厚かましくも、こう主張した。自分たちは超が付くほどの完璧主義者で、他社よりはるかに優れたマルチタスク対応機能を開発したかったから時間がかかっただけだと。まさに、市場に出遅れた者が使う常套句だ。
注目すべきは、アップルが自社の携帯電話のOSをパソコンのOSのようにしようとしていること。ただし、パソコンと違ってiPhoneのOSでは、好きなアプリケーションをダウンロードして使うことができず、すべてアップルから購入しなければならない。
言い換えれば、アップルが開発しているのは、自分たちが完全にコントロールすることのできる新種のパソコンだ。そして人々は、まんまとアップルのやり方に引っかかっている。ハードウエアがあまりに格好いいからだ。
アップルはこの日、新しい広告プラットフォーム「iAd」も発表した。iPhoneとiPad上で使われるアプリケーションに広告を組み込み、その広告収入の60%がアプリ開発者に、40%がアップルの懐に入る仕組みだ。アップルは広告の販売・提供・配信をすべて手掛けるという。
つまりアップルは、自分たちが完全にコントロールできる「塀で囲んだ庭」をつくるだけでは飽き足らず、その庭の中で提供されるすべての広告をも管理しようとしている。スティーブ・ジョブズCEO(最高経営責任者)は、自分以外の誰かが許可なしにアップル製品で一銭でも儲けることを許さない、というポリシーを貫いている。
それでもフラッシュをサポートしない理由
もちろん、ジョブズはそんな態度はおくびにも出さず、いつものようにiAdは社会奉仕活動の一種だと語った。「これはわが社が一獲千金を手にするためのビジネスモデルではない。アプリケーションの開発者が業界で生き抜いていくのを手助けするものだ」
ニュースはまだある。アップルは依然アドビ・フラッシュをサポートするつもりはないそうだ。理由については何も説明がなかったが、ちょっと考えれば分かる。Huluのようにフラッシュを使用した動画を提供するサイトを使えなくすれば、ユーザーはアップルのiTunesストアからコンテンツを購入せざるを得なくなる。