コラム

イスラム教徒の女性がコーランを手に女性のため立ち上がる/Relegate to(~に追いやる)

2016年08月09日(火)11時20分

【今週のTED Talk動画】What my religion really says about women by Alaa Murabit
https://www.ted.com/talks/alaa_murabit_what_my_religion_really_says...

登壇者:アラー・ムラビット

 カナダで生まれ育ったアラー・ムラビットは、敬虔なイスラム教の家族の中で宗教の大切さを学ぶと同時に、11人いる子供の1人として社交性やコミュニケーションのコツを身につけていった。そして15歳の時、家族で両親の故郷に引っ越すことになる。そこはリビアのとても保守的な町。そこで彼女は、社会における女性の立場がカナダにいた時とはかなり異なることに気付き、イスラム教における女性の役割を考えるようになった。

【参考記事】無宗教のアメリカ人記者がイスラム教に心の平穏を見出すまで

 2011年にリビアで革命が起きると、ムラビット氏はそれを変革のチャンスととらえ、女性の経済と政治への参画に重点をおいて活動を開始した。その裏付けとして、コーランなどのイスラム教の書物を引用し、イスラム教における女性の重要な役割と権利を強調した。要するに彼女は、イスラム教の本来の教えと、現在のイスラム教の組織や権力者が行っている宗教的行為との違いをはっきりさせ、それを指摘したのだ。そのことで彼女はかなりの批判を受けたが、一方で大きな進展も見られたという。ムラビット氏の話を聞くと、私たちが普段あまり知る機会のないイスラム教の中身を知ることができる。

キーフレーズ解説

Relegate to
~に追いやる
(動画6:12より)

 何かを格下げしたり左遷したり、低い地位に置いたりするときに、この動詞が使われます。そのように扱われた人や物やコンセプトは、重要ではない、あるいは、これからたぶん無視されるだろうといったニュアンスも入っています。語源は「国外追放」であることから、「追い出す」や「遠く離れた場所に行ってもらう」という意味合いも含まれています。文字通りにも比喩的にも、同じ意味で使われます。

 このTED Talkでは、ムラビット氏はリビアに移住した際に「Why were women being relegated to positions which predated the teachings of our faith?」(なぜ女性たちは、私たちの宗教の教え以前の時代の地位に追いやられているの?)という質問を投げかけたそうです。

 ここでいくつか使用例を紹介します: 

●The generals who incurred the King's disfavor were relegated to positions in the hinterlands.
(王様を不機嫌にさせた将官は田舎にあるポストに左遷された)

●The story was relegated to the back pages of the newspaper.
(その記事は新聞の後ろのページに追いやられた)

●I immediately relegate all my junk mail to the recycling bin.
(不要なごみの郵便物はすぐにリサイクル用のごみ箱に入れる)

プロフィール

ロッシェル・カップ

Rochelle Kopp 異文化コミュニケ−ション、グローバル人材育成、そして人事管理を専門とする経営コンサルタント。日本の多国籍企業の海外進出や海外企業の日本拠点をサポートするジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社の創立者兼社長。イェ−ル大学歴史学部卒業、シガゴ大学経営大学院修了(MBA)。『シリコンバレーの英語――スタートアップ天国のしくみ』(IBC出版)、『日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?』(クロスメディア・パブリッシング)、『反省しないアメリカ人をあつかう方法34』(アルク)など著書多数。最新刊は『日本企業がシリコンバレーのスピードを身につける方法』(共著、クロスメディア・パブリッシング)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米肥満薬開発メッツェラ、ファイザーの100億ドル買

ワールド

米最高裁、「フードスタンプ」全額支給命令を一時差し

ワールド

アングル:国連気候会議30年、地球温暖化対策は道半

ワールド

ポートランド州兵派遣は違法、米連邦地裁が判断 政権
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216cmの男性」、前の席の女性が取った「まさかの行動」に称賛の声
  • 3
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 6
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 7
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 8
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 9
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 10
    「非人間的な人形」...数十回の整形手術を公表し、「…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 9
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 10
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつか…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story