- HOME
- コラム
- プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
- 戦争による膨大な死の記憶とどう向き合ったらいいか、…
戦争による膨大な死の記憶とどう向き合ったらいいか、8月15日に考える
この種の対立は、日本だけに存在するのではありません。敗戦に終わった戦争の場合は、一般的にこうした対立が起きがちです。例えば、ベトナム戦争の評価に関するアメリカ国内の対立がいい例です。
ただし、日本の場合は対立が極端になっているのが心配です。戦争の被害を強調する人は、無意識のうちに平和国家である日本は戦争を放棄していない世界の主要国より倫理的に優越していると考えています。テロや海賊の抑止、核拡散の抑止のために、有志連合や国連の努力が行われているわけですが、そのような活動に対して極端に冷淡な態度は国際的孤立を招きかねません。
一方で、日本における戦没者の英雄視は、場合によっては、枢軸国日本の戦争政策を肯定しているという印象を与え、「国際連合=連合国」を中心とした国際秩序に敵対しているという誤解を生む危険があります。こちらも、国際的孤立の原因となる危険性を秘めています。
そう考えると、両者の対立がより極端になっていくようでは、将来が心配です。安倍首相の場合は、2013年12月の自身による靖国参拝が、国内対立を激化させつつ、国際的な孤立を招く危険性を生じたわけですが、その後の安倍政権は、靖国参拝を自制しつつ、オバマ前米大統領との広島と真珠湾における相互献花・共同追悼の外交を成功させました。
この点で気になるのは、ポスト安倍の政権がこの問題にどう取り組むのかという点です。日本の孤立化を狙う諸外国の勢力が、より活発化している時代でもあり、深い洞察と果敢な行動力が求められます。何よりも国内の対立を沈静化しつつ、米国との共同献花外交は、長崎はもちろん、沖縄や硫黄島などの激戦地でも順に実現できれば良いと思います。
また、いきなり中国や韓国は無理でも、シンガポール、マレーシア、インドネシア、ベトナム、フィリピンなどとの首脳同士による共同献花外交を進めることも考えられます。政治色を薄めつつ新時代の皇室外交のテーマにすることも検討してはどうでしょうか。
戦争による膨大な死の記憶とどう向き合ったらいいのか、8月15日を契機として、またポスト安倍の時代を見据えながら考えなければならないと思います。
【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>
ロス山火事で崩壊の危機、どうなるアメリカの火災保険 2025.01.15
日鉄はUSスチール買収禁止に対して正々堂々、訴訟で勝負すればいい 2025.01.08
日本企業の国内軽視が招いた1人当たりGDPの凋落 2024.12.25
日産とホンダの経営統合と日本経済の空洞化を考える 2024.12.18
医療保険CEO銃殺事件が映すアメリカの現在 2024.12.11
二期目のトランプと「現実世界」を繋ぐのは誰か? 2024.12.04
日本とアメリカの現状否定票、その共通点と相違点 2024.11.27
-
港区 営業アシスタント「海外ネットワークを持つ外資系総合商社」フレックス/残業月10h/年休120日
コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッド
- 東京都
- 年収500万円~550万円
- 正社員
-
一般事務/メーカー 残業なし/外資系企業/20-30代活躍中
株式会社スタッフサービス ミラエール
- 東京都
- 月給20万6,000円~
- 正社員
-
貿易事務/流通関連 駅チカ/外資系企業/20-30代活躍中
株式会社スタッフサービス ミラエール
- 東京都
- 月給20万6,000円~
- 正社員
-
経験5年必須/プリセールス/年商250億円企業/リモート可/外資系企業
SAI DIGITAL株式会社
- 東京都
- 年収400万円~750万円
- 正社員