コラム

伊勢志摩サミット、日本文化の真髄として伊勢神宮の紹介を

2016年03月01日(火)17時00分

 ですから、「明治期の廃仏毀釈は悪」だから元に戻せなどという善悪二元論では、とても片付かない深いテーマです。実は、あまり知られていないのですが、伊勢神宮も元は神仏習合がされており、その1つのお寺の遺構が残っています。それは、「慶光院」という内宮の参道にある尼寺で、現在は廃寺となっていますが、立派な建物が残っています。この「慶光院遺構」も、可能であればサミットの首脳や取材陣に特別公開して、日本文化の重層性、多様性の象徴として理解してもらえたらいいと思います。

 伊勢神宮は確かに内宮を中心とした「天照大神」信仰の場でありますが、同時に外宮があり、多くの別宮があり、また慶光院の遺構があり、その全体が示しているのは日本文化の経てきた長い時間の重みに加えて、時代によって変化してきた多様性と重層性の構造なのだと思います。

 今年の伊勢志摩サミットでG7諸国やEUで伊勢神宮への関心が高まるのは素晴らしいことです。「国家神道のイメージと重ねることで嫌われるのでは?」という余計な心配は無用です。堂々と情報発信をして、堂々と首脳夫妻と大報道陣を連れて行けば良いのです。「神道の持つ多様性、庶民信仰、パトロンの多様性、神仏習合」といったキーワードに留意しつつ、学術的な情報を豊富に提供して、積極的に文化メッセージを発信することを期待したいと思います。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシア、インドの原油購入停止「承知せず」 米印合意

ワールド

ロシア、ウクライナのエネ施設に集中攻撃 新たな3カ

ワールド

焦点:外為特会、減税財源化に3つのハードル 「ほく

ワールド

スペイン、16歳未満のソーシャルメディア利用禁止へ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗り物から「勝手に退出」する客の映像にSNS批判殺到
  • 3
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れるアメリカ」に向き合う「日本の戦略」とは?
  • 4
    トランプ不信から中国に接近した欧州外交の誤算
  • 5
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 6
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 7
    地球の近くで「第2の地球」が発見されたかも! その…
  • 8
    最長45日も潜伏か...世界が警戒する「ニパウイルス」…
  • 9
    中国政府に転んだ「反逆のアーティスト」艾未未の正体
  • 10
    関節が弱ると人生も鈍る...健康長寿は「自重筋トレ」…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 5
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 6
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 7
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 8
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 9
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 10
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story