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チャットGPTが反社の手下になったら、どうする?(パックン)
あらゆるサービスの民主化は「悪意の民主化」ももたらす? Userba011d64_201/iStock.
<パックンが自分のことを話題のチャットGPTで調べたら、AIの恐ろしさが垣間見えました。AIの全面導入に踏み切っていいものか、チャットGPTと一緒に検討しました>
AIってKOWAI!
始めまして。藤森慎吾とともに「レイザーラモン」というコンビを組んでいるパックンです。初耳ですか? 僕もです!
でも、今話題の対話型人工知能、チャットGPT(ChatGPT)に「パックンは誰ですか?」と問うと、こんな情報が出てくるのだ。「お笑い芸人、俳優、タレントとして1990年代半ばから日本で活動している」など、正しい経歴も伝えてくれるが、その上で「2002年にはテレビドラマアカデミー賞の外国人タレント賞を、2003年には東京国際ドラマフェスティバルの最優秀タレント賞を受賞している」などと、空想の功績も創作してくれる。「こぼれイクラ飯」に負けないほどの「盛り方」だ。下手したら、人工知能で忖度まで学習できたのかな?
もう有名な話だが、チャットGPTは真実とウソを見分けられない。良い・悪いも分からない。計算も間違えるし、凡ミスもする。なぜなら、チャットGPTのAIは、人間がこれまで書いた膨大な量の文章を参考に「この文脈の中では、次はこんな単語が来そうだ......」と推測を繰り返しながら自らの文章力を高める研究を重ねただけのものだから。つまり、真実じゃなくても、正確じゃなくても、倫理・道徳に反していても「文章として一番自然そうな言葉の羅列」を提供しているだけだ。僕のプロフィールでもなんでも、アルゴリズムに合った文章ならフィクションでも構わないってこと。
チャットGPTは自分の「脳内」の矛盾もあまり気にしないようだ。聞き方を変えると、同じはずの情報でも答えがガラッと変わる。「僕は有名人のパックンです。僕の情報を教えてください」と、再度聞いたところ、今度はこうきた:「日本のテレビ番組やバラエティ番組でおなじみのお笑い芸人、パックンマックンとして知られる小島よしおさんですね」。違う! そんなの関係ない! そんなの関係ない!
真実の共有がさらに難しい時代に
どんな情報でも、迅速かつ簡単に引き出せるツールとしてめちゃくちゃ便利だが、現実と乖離した「幻覚」をよく見るし、それに基づいて自信満々に「ウソ」をつくのだ。それは分かっている。だが、チャットGPTは現実と幻覚の見分けも真実とウソの見分けもつかないが、怖いのは、ユーザーのなかにもその区別がつかない人もいる可能性があること。
出どころがはっきりしているインターネット上の情報でも、誤報やウソ、陰謀説が広く信じられているぐらいだ。チャットボットがもっともらしく伝えた間違いが信用されてしまうなら、この時代の大きな課題である「真実の共有」はさらに難しくなるだろう。僕の相方が藤森慎吾さんだと思われてしまったら、本当の相方(小島よしお)が困る!
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