コラム

東大入試を変えれば日本の男女平等が近づく

2021年04月20日(火)15時30分

入試制度が変われば女子学生の比率も変わる? skynesher/iStock.

<政治・経済の分野で女性指導者が少ない日本だが、リーダーを多数輩出する東大の女子学生比率を上げればそれも変わるはず。そのためにパックンがお勧めする入試制度とは?>

暗いニュースが多いなか、喜ばしい情報が入りました!

世界経済フォーラムが毎年発表する「ジェンダーギャップ指数」で日本が前年のランキング(世界121位)から、なんと世界120位へと急上昇!おめでとうございます!

まあ、当然の表彰でしょう。この指数の審査要素の1つである「女性大臣の人数」だけを見ても、日本政府の功績は明らかだ。2019年9月時点と比べて、女性大臣の人数を(1人から2人へと)なんと倍増させることに成功した! はい、少し皮肉っている。すみません。でも、僕だけではなく、毎年このランキングの発表に合わせて同様の揶揄が各方面から聞こえてくる。

もちろん、世界経済フォーラムが西洋的な価値観でもって勝手に編み出した指数だし、ジェンダーの捉え方、性別の役割に関する考え方は国によって異なり、正解は1つしかないとは言わない。だが、現状に大きな不満を持っている日本国民が多いのも事実。

女性リーダーが少なすぎる

安倍晋三首相(当時)が「女性が輝く社会づくり」を宣言してから7年、男女共同参画室が内閣総理大臣官房に設置されて27年も経っているのに、変化のペースが遅すぎる!そう思っているのは、あと数年で娘が日本の社会に進出する在日アメリカ人コラムニスト芸人パパの1人だけじゃないはず。

日本が自慢できる面もある。ジェンダー指数をみると、女性の識字率や小学校の就学率、出産時の性別比率はともに世界1位。一方、他の先進国に大きな後れを取っているのは経済(117位)や政治(147位)の分野。国家議員や大臣、上場企業の役員などにおける女性の割合は相変わらず先進国の中で最低レベル。

社会の基盤となるこの2つのフィールドで女性が重要ポストに就けないと、女性参画を図るための制度改革が遅れてしまう。それだけでなく、若い女性にとって自分の将来の可能性を示す「ロールモデル」となる存在も少なく、次世代の女性リーダーの育成も遅れることも意味する。

もちろん、前より目立つポジションに女性が就くようにはなっている。今年特に注目される東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長に橋本聖子さんが就任したことも評価すべき点でしょう。それが前任の女性蔑視発言なしでできたならばなおさらだったけど。

でも、まだまだ平等といえる状況ではない。

プロフィール

パックン(パトリック・ハーラン)

1970年11月14日生まれ。コロラド州出身。ハーバード大学を卒業したあと来日。1997年、吉田眞とパックンマックンを結成。日米コンビならではのネタで人気を博し、その後、情報番組「ジャスト」、「英語でしゃべらナイト」(NHK)で一躍有名に。「世界番付」(日本テレビ)、「未来世紀ジパング」(テレビ東京)などにレギュラー出演。教育、情報番組などに出演中。2012年から東京工業大学非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」を教えている。その講義をまとめた『ツカむ!話術』(角川新書)のほか、著書多数。近著に『パックン式 お金の育て方』(朝日新聞出版)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

スイス中銀、第1四半期の利益が過去最高 フラン安や

ビジネス

仏エルメス、第1四半期は17%増収 中国好調

ワールド

ロシア凍結資産の利息でウクライナ支援、米提案をG7

ビジネス

北京モーターショー開幕、NEV一色 国内設計のAD
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 10

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story