コラム

プロの技術者も利用する電子DIYキット

2016年06月18日(土)11時00分

 タグの連携をプログラムするには、MESH Canvasという名のiOSアプリを利用する(現時点では、他のプラットフォームには未対応)。これは、画面内に各タグのアイコンを引っ張り出して並べ、その間を線で結びつけ、センサーの感度やLEDの色を設定するだけでよい。

 用意されたタグの機能以外にも、iPadやiPhoneのマイク(音声でトリガー)、スピーカー(録音された音を再生)、カメラ(写真を撮る)を利用したり、フィリップスのhue(IoT的に明るさや色をコントロールできるLED電球)などを制御することも可能だ。

プロの技術者がMESHをプロトタイプ開発に利用する例も

 たとえば、ドアに動きタグを付けて、LEDタグと連携させると、誰かが入ってきたときにライトの点灯や点滅で知らせるような装置が簡単に作れる。あるいは、プレゼントが入った箱の中に明るさタグを入れ、フタを開けると(=内部の明るさが変わると)、iPadやiPhoneのスピーカーからお祝いのメッセージが流れるようなこともできる。

 さらに、知識があれば、ネットを介してメールやツイッターなどのWebサービスと連携させたり、JavaScriptというプログラミング言語を使って独自の機能を実装することも可能だ。

 これまで専用の製品を使わなければ実現できなかったことが、タグと簡単なプログラムの組み合わせで作れるようになるため、プロの技術者がMESHをプロトタイプ開発に利用する例もあり、その用途は、家庭内でのホビーユースだけでなく実用目的の企業ユースにも広がっている。

 タグの価格がそれぞれ5〜6千円で、機能させるためにMESH Canvasアプリを動かしておく必要はあるものの、この製品が周囲の色々なモノと結びついて、来るべき世界の一端を覗かせてくれることを考えると、ゲーム機などを子供に買い与えるよりも、はるかに優れた未来への投資だと言えるだろう。


プロフィール

大谷和利

テクノロジーライター、原宿AssistOnアドバイザー、NPO法人MOSA副会長。アップル、テクノロジー、デザイン、自転車などを中心に執筆活動を行い、商品開発のコンサルティングも手がける。近著に「成功する会社はなぜ「写真」を大事にするのか」(現代ビジネスブック)「ICTことば辞典:250の重要キーワード」(共著・三省堂)、「東京モノ作りスペース巡り」(共著・カラーズ)。監修書に「ビジュアルシフト」(宣伝会議)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国CPI、2月は0.7%下落 昨年1月以来のマイ

ワールド

米下院共和党がつなぎ予算案発表 11日採決へ

ビジネス

米FRBは金利政策に慎重であるべき=デイリーSF連

ワールド

米国との建設的な対話に全面的にコミット=ゼレンスキ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
2025年3月11日号(3/ 4発売)

ジャンルと時空を超えて世界を熱狂させる新時代ピアニストの「軌跡」を追う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 2
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題に...「まさに庶民のマーサ・スチュアート!」
  • 3
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMARS攻撃で訓練中の兵士を「一掃」する衝撃映像を公開
  • 4
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 5
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 6
    テスラ大炎上...戻らぬオーナー「悲劇の理由」
  • 7
    ラオスで熱気球が「着陸に失敗」して木に衝突...絶望…
  • 8
    同盟国にも牙を剥くトランプ大統領が日本には甘い4つ…
  • 9
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 10
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 3
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 4
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
  • 5
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政…
  • 6
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 7
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 8
    ニンジンが糖尿病の「予防と治療」に効果ある可能性…
  • 9
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない…
  • 10
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMA…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 10
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story