SPECIAL ADVERTISING SECTION

フランス人と行く!四国お遍路

どのお寺にもユニークな特徴があり、弘法大師ゆかりの逸話がある

2016年01月15日(金)10時55分


DAY 4

お遍路のプロ"先達さん"の案内で危険なお寺へ

[岩屋寺~善通寺]

 1日目から案内役となってくれていた四国お遍路の研究者であるデビッド・モートン先生とは、教務のため昨日でお別れした。この日からはモートン先生に代わり、熟練の先達さんであるTさんが案内してくれることに。「先達さん」とは言わばお遍路のプロフェッショナル。お遍路を4周以上終えた上でお寺からの推薦が必要などの厳しい条件があり、誰もがなれるわけではない。

ohenro2-6l.jpg

正式なお遍路衣装で登場した、熟練の先達さんであるTさん

 Tさんに連れられて最初に訪れたのは、今回の旅で訪れる中でも、特に危険な場所にあるお寺だ。その名も第四十五番札所の岩屋寺(いわやじ)。読んで字のごとく、このお寺は大岩に埋もれるようにして建っている。

 ここにはその昔、空を自在に飛び回れるほどの神通力を身につけた仙人が住んでいたのだとか。弘法大師がその仙人から山を譲られて建てたのが、この岩屋寺と言われている。仙人が住んでいたとされる岩穴に入ったり、鎖をよじ登らないとたどり着けない奥の院があったりと、生活そのものが修行の場となっているお寺である。

 それだけ険しい土地だからか、今でも事故で亡くなるお遍路さんが稀にいるそうだ。江戸時代などには、お遍路さんが旅の最中に亡くなるとそのままその土地に埋葬されることが多かったという。実際、その墓などが参道のところどころに見受けられた。

 そんな危険をおかしてまでお遍路をする理由はどこにあるのか? Fさんもそれが気になったようで、先達さんのTさんに質問する。Tさんによれば、そもそも四国には修験のために建てられたお寺が多く、お遍路のために建てられたわけではないという。だから、あえて人里から離れた山林の中や、岩屋寺のように危険な場所に建てられていることが多いのだと。

 ただ、そうした命の危険すら感じる場所があるからこそ、お遍路を一周した時に得られるものは、現代ではなかなか得がたいものというわけだ。

 お遍路のきっかけは、供養だったり祈祷だったりと人それぞれだが、お遍路をしていくうちに心の中にある余計なものが削ぎ落とされていき、自分自身と向き合うことで心のあり方が変化する。多くの面で満たされている現代社会ではそうした変化を得るのが難しいからこそ、お遍路をすることには大きな意味があるということだった。

ohenro2-7m.jpg

危険な場所にあるお寺の代表格、岩屋寺

 次に向かったのは、第四十六番札所の浄瑠璃寺(じょうるりじ)。ここは弘法大師を追って四国を回った、最初のお遍路さんと言われる衛門三郎(ブログ[DAY 1-2]参照)の故郷でもある。いわば、お遍路始まりの地と言えるだろう。

 浄瑠璃寺には、ここにしかない「もみ大師」という弘法大師像がある。境内で見られるのは下写真のような石像だが、本堂に祀られているのは本物の米籾(こめもみ)に掘られている、1センチにも満たない小さな弘法大師像だ。

ohenro2-8m.jpg

浄瑠璃寺境内にある「もみ大師」の石像

プロフィール

山崎勇歩

ライター、デザイナー。1987年千葉生まれ。武蔵野美術大学卒。外資系広告代理店でのクリエイティブ職を経て、現在に至る。

MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。

人気ランキング

  • 1
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台になった遺跡で、映画そっくりの「聖杯」が発掘される
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 7
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のため…
  • 8
    博士課程の奨学金受給者の約4割が留学生、問題は日…
  • 9
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 10
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 7
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 8
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 9
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 10
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中