SPECIAL ADVERTISING SECTION

フランス人と行く!四国お遍路

どのお寺にもユニークな特徴があり、弘法大師ゆかりの逸話がある

2016年01月15日(金)10時55分

 四国お遍路の全てのお寺ではないが、この浄瑠璃寺をはじめ、いくつかのお寺では英語の説明書きが設置されている箇所があった。そういう説明書きをより充実させると外国人お遍路さんがさらに増えるのではないかと、Fさんは実感をもって話していた。

 その後、バスは西から東へと四国を横断し、第七十一番札所の弥谷寺(いやだにじ)へと向かう。

 山門に入る前にまず、俳句茶屋という名物茶屋がある。世界中からやって来たお遍路さんがここで一句読んでいくというのが定番コースで、店内には様々な言語で書かれた俳句がびっしりと貼られている。

 Fさんももちろん一句読んだ(フランス語で書かれてあり、しかも恥ずかしいからか内容を教えてもらえなかったが......)。

ohenro2-9l.jpg

様々な言語で書かれた俳句がびっしりと貼られた俳句茶屋の店内

 俳句茶屋を過ぎて参道を登っていくと、高さ6メートルにもなる立派な金剛拳菩薩が迎えてくれる。金剛拳菩薩像を過ぎて、さらに百八段の階段を登るとやっと境内に到着だ。

 弘法大師が幼少期に学問に励んだ獅子之岩屋という岩窟が境内にあったり、岩に阿弥陀三尊磨崖仏が彫られていたりと、ここも岩屋寺同様、険しい岩山にある山寺である。

 Tさん曰く、俳句茶屋を過ぎたあたりから境内までの数百メートルにもなる参道沿いに、昔はびっしりと磨崖仏が彫られていたそうだ。風化などから今ではそのほとんどが消えてしまったようだが、それでも当時の面影を感じる岩窟などが随所に残っており、当時の光景を想像してみるとその荘厳さに圧倒される。

ohenro2-10m.jpg

唯一はっきりと残っている阿弥陀三尊磨崖仏像

 弥谷寺を離れ、4日目の最後に訪れたのは、今夜の宿も兼ねている第七十五番札所の善通寺(ぜんつうじ)。

 弘法大師誕生の地ということで、弘法大師三大霊場のひとつにもなっている非常に重要なお寺だ。また、弘法大師が誕生したといわれる西院と、もともと創建されていた東院のふたつで構成される大規模なお寺でもある。

 今までのお寺とはひと回りもふた回りも違う規模の大きさに、Fさんもひたすら境内をカメラに収めていた。

ohenro2-11m.jpg

規模が大きく、弘法大師誕生の地でもある善通寺の五重塔

 善通寺のいろは会館という宿坊では、観光客であろうと取材の記者であろうと関係なく、全員が精進料理を食べることになっている。精進料理と聞いて質素な料理を想像していたが、全くそんなことはなく、ボリュームも味も抜群の美味しい料理だった。

 また、温泉に入ることもできるが、宿坊とはあくまでお遍路さんや修行のための施設なので、いわゆる温泉旅館のようなテレビや卓球台などは一切ない。その点は誤解なきよう。

 早めの夕食を取った後は、善通寺を静寂と星空が包み込んでいく。

 翌日は早朝5時半から朝のお勤めが始まるため、宿泊者もそれに合わせて早めに就寝するのがならわしだ。朝のお勤めの様子に関しては、写真で少しだけ様子を紹介し、詳しい内容はまた次回にお届けしたい。

ohenro2-12m.jpg

善通寺で早朝5時半から始まるお勤めの様子

ohenromap4l.jpg

[DAY 5-6] 本当のゴールは、第八十八番札所ではなく、和歌山の高野山だった はこちら

[四国お遍路の詳しい情報はこちら]
巡るめく四国 四国地区公式観光サイト(英語もあり)
四国八十八ヶ所霊場会 公式ホームページ

プロフィール

山崎勇歩

ライター、デザイナー。1987年千葉生まれ。武蔵野美術大学卒。外資系広告代理店でのクリエイティブ職を経て、現在に至る。

MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。

人気ランキング

  • 1
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 2
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とんでもないモノ」に仰天
  • 3
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。2位は「身を乗り出す」。では、1位は?
  • 4
    「パイロットとCAが...」暴露動画が示した「機内での…
  • 5
    ワニに襲われ女性が死亡...カヌー転覆後に水中へ引き…
  • 6
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 7
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 8
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 9
    顧客の経営課題に寄り添う──「経営のプロ」の視点を…
  • 10
    飛行機のトイレに入った女性に、乗客みんなが「一斉…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 7
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 8
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中