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ニューズウィーク日本版編集部 From the Newsroom
フェースブック「涙のお節介」機能
何かとお騒がせのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)大手、フェースブックの最新ネタは、一見するとちょっと笑える。
フェースブックは、もう私たちを悲しみのどん底に突き落とすことがないようベストを尽くしている。フェースブックにはこれまで、恋人と最高にうまくいっていた頃の写真、私たちが捨てられる前の写真をいやというほど見せつけられてきたが、もうそれは止まった。「想い出写真」ボックスから、遂に元カレや元カノが消えてくれたのだ。
SNS専門の情報サイト、マシャブルによると、これはユーザーが最も懐かしいと思うはずの友人知人を選び出すフェースブックのアルゴリズムが逆効果を発揮してしまったものらしい。いったいどういうアルゴリズムなのか、ユーザーのどんな操作が基準になっていたのかは、よくわからないと書いてある。真相はブラックボックスの中、というわけ。
これだけなら笑い話ですむかもしれないが、フェースブックはこの数カ月、世界のあちこちで個人情報の漏洩問題を起こしている。数日前にはドイツの閣僚がその欠陥を批判したほど。第3者が誰かのメールアドレスを入力するだけで、その個人情報や友人の情報にまでアクセスできてしまう欠陥があったという。またウォールストリート・ジャーナル紙には、人気アプリが個人情報を送信していたという記事も。
懐かしい人の写真を表示してあげようという親切心と個人情報の管理の甘さには、情報を利用したり加工したりすることで人はもっと楽しく快適になれるという過信のようなものが共通しているような気がする。
ネット上で個人情報を公開したいという気持ち自体がもともとわかりにくいが、こんな話を聞いてしまうとますます腰が引ける。「フェースブックに旅行の写真をアップしたから見に来て」と言う知人の要望には、偽名アカウントで対応しよう。
──編集部・千葉香代子
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