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ニューズウィーク日本版編集部 From the Newsroom
世界のコンドーム話あれとこれ
3月8日の国際女性デーにちなんでというわけでもないだろうが、米ワシントンで女性用コンドームが無料配布されることになった。ワシントンではアフリカ系アメリカ人のエイズ感染率が高く、その予防・啓発のためというのが背景事情。
アメリカでは93年に女性用コンドームが認可されているが、価格の高さや使い心地の悪さ(使用中の音がかなりうるさい)からほとんど普及していない。米疾病対策センター(CDC)の02年調査によれば使用経験のある女性はわずか2%。今回配布される改良バージョンの「FC2」は1個82セントと従来品より30%ほど安くなっているし、素材も固めのポリウレタンからニトリル(ラテックスゴムに似たもの)に変わっている。
男性まかせではなく、女性主体で避妊と性感染症予防をできる貴重な手段だから、メーカーにはさらなる改良と製品普及に努めてほしいものだ(FC2もまだまだごつい感じがする)。おしゃれなイメージ戦略も重要で、ニューヨーク市の公認コンドームのようにパッケージデザインを公募して話題を集めるのも一つのやり方かもしれない。
それにしても、第2世代のFC2が出るまで15年以上もかかっているのはちょっと驚きだ。男性用コンドームの開発にはもっと熱意が注がれているだろうに......。
たとえば最近、スイスでローティーン向けコンドーム(製品名「ホットショット」)が発売されるというニュースがあった。政府の調査で12~14歳の性体験率増と無防備なセックスが明らかになり、これが製品開発に結び付いたらしい。そんな年でコンドームが必要か? と眉をひそめる人もいるだろうが、現実的対処としては間違っていないと思う。ただしティーン向けといっても特別な仕掛けはなく、直径が標準サイズの52ミリよりちょっと小さくて45ミリというだけだが。
しかしこの7ミリの差が重要といえば重要。正しいサイズのコンドームをつけないと使用中に破れたり、快感が損なわれたりするという米研究者の調査もあるくらいだから。ちなみにこの調査では、男性は多くの場合、SサイズやMサイズのコンドームを購入しない傾向があることもわかったとか。そんなところで見栄を張らなくてもいいですよ、男性諸君。
――編集部・大橋希
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