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退職者が続出する企業には「セルフ・キャリアドック」が必要だ
キャリアアドバイザーとは違う「キャリアコンサルタント」
ここで、そもそも「キャリアコンサルタント」とは何かについて解説しておく必要があるだろう。先ほど「プロのキャリアコンサルタント」とも書いたが、キャリアコンサルタントは、名称独占の国家資格だ。筆者もその有資格者である。
人材業界や大学には、キャリアアドバイザーと呼ばれ、就職や転職を支援する人がいる。しかし、自分の経験や偏った知識に基づいたアドバイスしかできず、相手を混乱させ、未来への適切な意思決定を阻害してしまうケースもある。
キャリアの相談に乗る、それは人の一生に影響を与える責任の重い仕事にもかかわらず、面談の質には大きなバラつきがあるのだ。
しかし、若年層の就業意識を高め、自立できるようにする必要性や、職業寿命が延びるなか、高齢になっても活躍し続けられるようにする必要性など、各自がキャリア意識を持っていきいきと働ける社会の実現が求められる時代になった。いま、キャリア支援者の役割はますます大きなものになっている。
この時代背景の中、厚労省は2016年4月より、キャリア支援の品質を一定以上にするためにキャリアコンサルタントを国家資格化し、登録制とした。現在、国家資格キャリアコンサルタントは3万9011人いる(2018年11月時点)。
キャリアコンサルタントよりも上の国家資格がある
日本におけるキャリア支援者の資格化の歴史は、2000年代初頭から始まった。最初は、米国のキャリアカウンセラー養成プログラムを参考にした民間資格だ。
GCDF(Global Career Development Facilitator)やCDA(Career Development Adviser)などの資格がそれにあたる。これらは、国家資格化以降も並列する形で存在している(これらの民間資格はやがて標準レベルと定義された)。
その後、厚労省が標準レベルより高い技能を認定するための制度を導入した。国家検定として2008年から「2級キャリアコンサルティング技能士」、2011年から「1級キャリアコンサルティング技能士」が始まったのだ。2級は年に2度、1級は年に1度試験が行われている。
そして、ついに厚労省は、前述のとおり2016年4月から、たとえ標準レベルであっても、キャリアコンサルタントの名称を使うには、全員が国家資格を取得し登録しなければならないようにしたのである。
標準レベルである国家資格キャリアコンサルタントよりも上位の資格である「2級キャリアコンサルティング技能士」は、熟練レベルと言われていて、受験資格は細かく複数あるが、多くの人に分かりやすい基準で言うと「5年以上の実務経験を有する者」だ。
試験には学科試験と実技試験があり、それぞれに合格しなければならない。特に実技は難しく、合格率は15.47%(直近の2018年前期試験)。学科、実技の両方に合格した累計人数は現在8879人である。熟練レベルは、有資格者の4~5人に1人しかいない。
一方、「1級キャリアコンサルティング技能士」は、指導レベルと言われており、キャリアコンサルタントの指導・育成をする役割だ。分かりやすい基準で言うと、受験資格は「10年以上の実務経験を有する者」。
その大ベテランが受けても、学科は29.14%、実技は5.52%(直近の2017年実績)の合格率という厳しさである。学科、実技の両方に合格した累計人数は、制度導入から7年以上を経ても、まだ341人に過ぎない(筆者もその1人だ)。
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